〔更生訓練情報〕
平成14年度新成人を祝う会が開催されました
更生訓練所 指導部指導課 主任生活指導専門職 後藤 幸雄



入所者代表 お祝の言葉 (学友会会長 丸山さん)

 平成15年1月20日(月)、新春のすがすがしい陽光の中、新成人を祝う会が多くの 入所者や職員の祝意の中、行われました。
 今年度の対象者は、昭和57年4月2日〜昭和58年4月1日までに生まれた方で 一般リハビリテーション課程入所者、肢体不自由者12名、聴覚障害者3名、理療 教育課程入所者3名の計18名の方々でした。
 式典では、新しく大人の仲間入りをするという新鮮な緊張感が会場内の雰囲気を 盛り上げる中、最初に一人ひとり対象者の紹介が行われた後、国立身体障害者リ ハビリテーションセンター総長、国立職業リハビリテーションセンター所長及び入所 者を代表して理療教育課程自治会「学友会」会長丸山弘さんから、お祝いのお言葉 がありました。
 両センターから記念品が用意され、更生訓練所長、国立職業リハビリテーション センター次長より贈呈がおこなわれました。
 最後に、答辞としてそれぞれの障害を代表して、肢体93期内海崇裕さん、聴覚74 期矢野由希子さん、理療教育課程1年大森貴史さんよりお礼のお言葉がありました。
 国立身体障害者リハビリテーションセンター総長、国立職業リハビリテーション センター所長の祝辞は次のとおりです。


更生訓練所長 記念品贈呈 職リハ次長 記念品贈呈 新成人 肢体代表答辞 新成人 聴覚代表答辞 新成人 理教代表答辞



 
新成人の皆さんをお祝いして
国立身体障害者リハビリテーションセンター  総長 佐藤 コ太郎

 この度18名の新成人の皆さんにセンターを代表してお祝いを申し上げます。
 新成人の皆さん、おめでとうございます。
 人が最も喜びとする事の一つは、自分自身や自分達の存在意義を感じた時、 あるいは他人からそれを認められた時ではないでしょうか。昨年、小柴先生や田中 さんのノーベル賞受賞を日本中が熱狂的なまでに祝福したこともその一つの現象 であると思います。
 この度、18人の入所生を新成人としてここにお祝いするわけですが、皆さんは 成人になったことに感慨を覚えておられることでしょう。私どもにとりましても、一人の 責任ある社会人としての皆さんの門出をここにお祝いできますことは意義深いことです。
 ここに、皆さんは「一人まえ」となった訳ですが、「一人まえ」とは、1通りのことが できる能力をもてたと言うことであり、皆さんはこれからさらに大きく成長して行く若木 であります。
 その若木に向かってあえて老化の話をしてみようと思います。
・人間の老化はいつ始まるのか。それは臓器によって異なります。40歳を過ぎて から老眼に気づくのですが、実際には、視力は子供の時から次第に低下している と言われます。
・体力は20歳ころから次第に低下しますので、皆さんは現在人生で最も体力の ある時期にあります。そして、これから次第に低下するとは言ってもそのスピードは 急激なものではなく、これから20年間ほどは、相当無理な仕事も成し遂げることの できる体力に恵まれております。また、訓練によって、そのレベルを高めることが できますし、高いレベルを長く維持することも可能です。
・人の脳はといえば、成長とともに次第に大きくなり、その重さは30歳頃がピークと なります。しかし、脳は記憶する事ができます、またネットワークを向上させることが できますので、40を過ぎてもその能力はすぐには減少しません。
 ここで、それほど大きくはないが、機能的な図書館の話をさせていただこうと思い ます。その図書館は、キャンパスの中心部にあり、嵐の時には地下道でも行けるよ うになっております。中に入るとそこは、2階までの吹き抜けになっており、館内の 机の配置に特色がございます。 手にした本をすぐに広げて読める机、友達同士で 討論もできる小部屋、靴を置き、コートをハンガーにかけ、資料を思いっきり広げて 自由に使えて、食事の時や急用の時には、鍵をかければそのまま出てゆける個室。 私は、そのような空間をちりばめた図書館を作るグループに参加したことがありました。 そのグループのメンバーは建築については全くの素人でしたが、当時建設場所や 図書館の内容について3年かけて吟味することができました。その時に得たことは、 グループで1つの納得行くものを作り上げる喜びでした。それは、20年以上経った 今でも私にとって大切な宝となっております。
 人生で、自分たちが納得のいく仕事ができ、人からも認めていただける機会は そう多いものではないのですが、小さなことでも、積極的に取り組み、自分でも納得 できることをなすことが大切です。そのような機会が、今後皆様にも訪れ、皆さんが 飛躍するための大きな契機となることと思います。
 皆さんが、自分の体力を維持し、さらに知力を高め、納得いく仕事を積み重ねながら、 充実した人生を歩まれることを期待して、私の挨拶といたします。

総長 お祝の言葉





 
新成人を祝う会における祝辞
国立職業リハビリテーションセンター  所長 苅部 隆

 今回新たに成人となられた18名の皆さんに心からお祝いを申し上げます。
 皆さんは成人となったわけですから、成人の意味をあらためてよく考えていただき たいと思います。小学館の国語辞典では、このように書いてあります。
成人とは、

 1 幼い者が成長すること。また、成長した子ども。
 2 おとなになること。成年に達すること。現在、わが国では、満20歳以上の者をいう。

 この2番目の意味を受けて、国民の祝日である成人の日は、満20歳の成年に 達した男女を祝福する日となっているわけです。そして、成年については、人が 完全な行為能力を取得する年齢。わが国の民法では満20歳。というように書かれ ております。
 未成年者は判断能力が不完全ということで制限されておりますが、成年に達し ますと、判断能力があるとみなされて単独で契約などの法律上の行為を行え ますし、選挙権も与えられます。未成年者には禁じられている飲酒や喫煙も可能と なりますが、その代わりに、犯罪を起こした場合には少年としての保護もなくなります。 保護者から自立した一人前の社会人とみなされます。
 自立した社会人にとって重要なことは、自分の言動に責任を持つということと、 自分の力で生活ができるようになるということであります。いままでのような未成年 だから子どもだからといった甘えは許されなくなります。厳しい社会ですが、努力 して結果や実績を出せばきちんと評価して認めてくれます。
 英語では、主語と動詞、目的語がはっきりしています。たとえば、親は子どもを 守る、あるいは、国は未成年者を守る、という文の中では、皆さんはいわば目的語 の存在であります。成人になるということは、これまで目的語だった皆さんが、今度は 主語の存在となって家族や社会を守っていく、ということであります。主語の役割の 重さを認識し、自分の可能性を信じて訓練や勉強に励んでいただきたいと思います。
 冒頭で述べた国語辞典では、成人の意味について、3番目にこう書いてありました。

  知徳がそなわり人格がすぐれた人。思慮分別をわきまえた人。

 21世紀の社会を支えていく皆さんが、そのような立派な成人となっていただくことを 心から期待するとともに、今後のご健康とご活躍を祈っております。

総職リハ所長 お祝の言葉