〔更生訓練情報〕
「支援費制度(利用契約化)がスタートしました」
指導部 相談判定課



1 支援費制度移行の経緯
 平成15年4月から身体に障害のある方にとって福祉サービス提供のあり方が大きく変わることになりました。それはこれまで受けていた福祉サービスに対して障害程度に合わせて必要な支援費を支給し、障害を持つ方は自分のサービス提供事業者を選択できることになったのです。
 平成12年6月に「社会福祉増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律」が成立しました。これは、昭和26年の社会福祉事業法制定以来大きな改正が行われていない社会福祉の共通基盤について、今後増大又は多様化が見込まれる国民の福祉ニーズに対応するため、見直しが図られたものです。
 これまでの行政がサービスの受け手を特定し、サービス内容を決定する「措置制度」から、障害者の自己決定を尊重し、利用者本位のサービス提供を基本として、事業者等との対等な関係に基づき、障害者自らがサービスを選択し、利用契約によりサービスを利用する「支援費制度」に改正され、平成15年4月から施行されることになったのです。
 このため事業者等は、行政から受託者としてサービスを提供していた立場から、サービス提供の主体として、利用者の選択を受ける立場になり、利用者のニーズに十分応えることができるようサービスの質の向上を図ることが求められることになりました。
 皆様も記憶に新しいと思いますが、平成12年4月から始まった介護保険制度に形式としては準じるものです。身体に障害を持つ方がその障害程度区分に応じて支援費が支払われます。そして、その支援費で必要なサービスを買うことになります。サービスを商品として買うわけですから、サービス提供をする事業者と対等な立場に立つことになり、消費者保護の観点からサービス提供に先立って提供されるサービス内容について、「利用契約」を結ぶよう社会福祉法で規定されたのです。

2 支援費制度への準備
 ところで、国立身体障害者リハビリテーションセンターの場合はどのようなことになるかと申しますと、国立施設は以前の措置制度時は施設利用に当たり措置費を伴わない施設利用となっておりました。今回はこれと同様に支援費制度になってもセンター利用には支援費を伴わない施設になっております。
 しかし、社会福祉法の基本的理念にある、基本的人権の尊重や、利用者本位のサービス提供という考え方から、社会福祉法人立の施設と同様に利用契約を結ぶこととしております。この利用契約を結ぶためには施設利用に関する重要事項説明を行うことも他施設と同様です。
 また、質の高いサービス提供を目指して「障害者・児施設のサービス評価基準」に基づき、平成13年度、14年度に自己評価による施設サービスの点検を行い、生活環境の整備などを行ってまいりました。さらに人権擁護の立場から「苦情解決規程」も制定しハード・ソフトの両面から支援費制度移行への準備を進めてきたわけです。

3 入所手続
 利用手続きはどうなるかと言いますと、措置制度でなくなるため利用希望者本人が入所手続きのために関係書類の準備をしなければいけないことになります。そのため相談判定課は申請事務に関しての情報提供や入所相談などで今まで以上に丁重な説明、助言が必要となります。市町村は、入所希望者に「国立施設入所に関する意見書」を出すことになっていて、地域支援や補装具申請など、今までどおり市町村との連携は継続されます。
 現在は改正された「入所者募集要項」、「パンフレット」を全国の市町村、関係施設に配布を終わり、入所相談に備えております。