新年挨拶
総長 佐藤 徳太郎



総長 佐藤 徳太郎  皆さん、新年おめでとうございます。
 年頭に当たり、皆さんの本年のご健勝を祈念申し上げます。
 また、当センターにおけるリハビリテーションサービスの提供、 研究・開発、養成・研修、さらには高次脳機能障害モデル事業、 チリや中国における国際協力などの活動に日頃多大のご協力・ ご尽力頂いておりますセンター内外の多くの方々に感謝申し上げ ますとともに,本年もご協力のほど宜しくお願い申しあげます。
 今年は,在京3施設の統合により国立身体障害者センターが 設置されて1/4世紀の節目の年に当たります。この間に、病院 の新入院約15,000名,更生訓練所修了生約5,700名,学院卒業生 約1,450名,研修生17,250名を数え、国内外からの見学者は約 150,000名となっております。さらに、中国リハセンターの立ち 上げや言語聴覚士の身分制度の確立など多くの実績をあげて 参っております。
 そのような中で、統合される以前に3施設においてそれぞれ 蓄積された知識・技能が所沢の地でどのように発展しているか、 何が整理されたか、どのようなシーズが大きく展開し、どの シーズが未開発であるか等を謙虚に振り返る時期と考えており ます。
 昨年11月に盲ろう者通訳ガイドヘルパー指導者研修会が開催 されました。この分野にはまだまだ多くの方々の参加・協力が 必要ではありますが、充実した研修会となっております。 その中で、視聴覚二重障害者福祉センター「すまいる」の 門川伸一郎氏から、「コミュニケーション技術と通訳技術は 同じではない。コミュニケーション技術が備わった上で、状況 に合わせた情報を過不足なく適切に伝えうることが高い通訳技術 である」との発言がありました。その背景を考えてみるときに、 同氏の発言は、簡単に納得することではすまされず、我々センター にある者として、良い通訳技術者に求められると同じように、 適切なサービスの提供、適切な養成事業の展開、適切な技術の 研究・開発はどうあるべきかを吟味することを迫るものであると お聴きしました。また、この研修会のような場面がセンターの 日常活動の中で展開されていることは、前身のセンターから 受け継がれている財産であり、またセンター活動のエネルギー となっていることを改めて認識した次第です。
 現在、学院リハビリテーション体育学科においては教育方針に ついての真剣な再検討が重ねられております。また、更生訓練所 の入所については支援費制度への対応、また医療からの連続した サービスの在り方等に関する検討なども進められております。 このような、それぞれの担当者による真摯な取り組みがセンター 活動を高めることに極めて重要であり、その成果を期待しており ます。
 また、昨年末に行われた業績発表会において、センターの 更生訓練所、病院、研究所、学院などの複数の部門による発表が 全体の1/3でしたが、このような部門間の協力を進めることが 社会のニーズに沿った活動の発展に繋がって行くものと期待して おります。
 さて、近年、遺伝子研究や細胞生物学は著しい発展を遂げてお ります。当センターにおけるその取り組みの歴史は浅いのですが、 昨年再生医学に関するシンポジュームを企画いたしました。 そして、今年から再生医学への取り組みが研究所を中心に開始 される計画です。現在多くの分野において再生医学の研究が進め られておりますが、視覚障害、聴覚障害、脊髄損傷や脳疾患など センターにおいては神経に関係する領域が多くを占めることから、 神経再生への取り組みが必要となっております。cureが中心と なる分野というよりは、医学的リハビリテーション技術が必須 であり、重要な位置を占める領域の再生医療の臨床や研究の発展 に寄与したいと考えております。
 この他にも、大きな新しい企画がいくつか立ち上げられており ます。さらに、高次脳機能障害モデル事業以外にも福祉施策の 基礎となる取り組みも進められております。
 新しい取り組み、各部門における業務の見直しなどによって、 節目の年にふさわしい、センターの一層の活性化と充実に取り 組んで参りたいと存じます。
 各位の一層のご協力を改めてお願いし、新年のご挨拶と致します。