平成16年度理療教育課程卒後特別研修会を終えて
理療教育部 飯塚 尚人



 今年も8月2日から6日まで、理療教育課程の卒業生を対象に、卒後特別研修会が開催 されました。この研修会は、臨床技術の向上とともに、時代に即した施術所経営技法を 修得させ、地域のリーダーとなりうるあはき師の養成を目的としています。そこで、 臨床実習を中心に密度の高い指導を行うために、実習については定員を20名に限定して います。参加対象も過去5年に実施された卒後研修会に参加した212名に限定し、今年は 35名が参加しました。
 今回は「患者様の要望にいかに応えるか」というテーマのもと、各分野で実際に臨床及び 臨床教育に携わっている経験豊富な講師の先生を招いて、明日からの臨床にすぐに役立つ 研修を企画しました。
 初日の基調講演は、「理療経営、今何をなすべきか」というテーマで元理療教育部長の 秦野良厚氏が、卒業生の実態に即して、めざすべき施術者像を具体的にわかりやすく説明 していただきました。幅広い先生の交友関係から、多くの示唆に富んだエピソードが披露 されました。その後の懇親会では、秦野講師を囲み、和やかな雰囲気の中で卒業生と 理教部職員が交流を深めました。
 2日目は、「足関節を中心としたテーピングの実際」というテーマで、ワキ接骨院院長 の広橋清行氏をはじめ3人の臨床家を講師として、きめ細かい指導が行われました。 今回は視覚に頼らなくともできるテーピングの方法をじっくり丁寧に指導していただき、 参加者からも明日からの臨床に自信がもてたという声が聞かれました。休憩時間にも 直前に習った実技を互いに確認しあっている参加者の姿が印象的でした。

卒後特別研修会の様子 その1

 3日目は、「平方鍼法(新しい鍼)の実際」というテーマで、4人の臨床家による 手から手へのきめ細かい指導が行われました。講師の葛山悟志氏は、この刺法の創始者 である平方龍男氏の孫にあたり、この治療法を広めるために研究会をはじめ多くの鍼師 を指導しています。独特の診察から治療法まで実際に体験すると共に参加者同士の実習 を行い、身体で技を身につける研修でした。


卒後特別研修会の様子 その2

 4日目は平川信代東京医療福祉専門学校校長を含め臨床指導に精通した4人の講師を 招いて、伝統的な「吉田流按摩術」の研修が行われました。大正13年生まれの平川講師 は吉田流按摩の継承者として著名な指導者です。多くの卒業生には最も身近な手技療法 という点から、定員を超えるほどの応募状況でした。講師の先生方も、視覚障害者の 指導は初めてのため、最初は手間取っていましたが、慣れるにつれて本領を発揮できた ようでした。
 最終日は、「患者さんの気持ちをどのように捉えるか」というテーマで、前理療指導 室長の白岩豊講師がカウンセリングの基本と実習を指導し、介護認定審査会委員の 白岩郁子氏が、保健師としての豊富な経験に基づき、医療と介護の現場や精神衛生に ついての現状を生々しく報告していただきました。
 今年の研修会も、参加者の期待を裏切らぬ内容と指導が行われたと思っています。 研修担当者としては、「せっかく充実した研修をやっても、すぐ繰り返して自分のもの にしなければ、何の役にもたちませんよ」という平川講師の言葉が気になります。
 最後に、研修会に尽力していただいた関係職員の皆様に紙面を借りて御礼いたします。


卒後特別研修会の様子 その3