〔学院情報〕
平成16年度 介助犬・聴導犬訓練者研修会を終えて
                   執筆:研修副担当者
研究所 障害福祉研究部 特別研究員 水越 美奈


 去る2月28日(月)から3月4日(金)までの5日間にわたって、当センターにおいて 平成16年度介助犬・聴導犬訓練者研修会を開催しましたので、その概況を御報告いたします。
 この研修会は、平成15年度の身体障害者補助犬法の施行に伴い、同年度「介助犬訓練者 研修会」として新規にスタートしましたが、平成16年度予算において、聴導犬トレーナー 育成研修事業費も新たに計上されたことに伴い、今年度からはこれらの研修会を合同して 行うこととし、研修会の名称を「介助犬・聴導犬訓練者研修会」と改めて実施しました。
 今回の受講者数は、定員20名を超える23名にのぼり、その内訳としては、介助犬では第 2種社会福祉事業届出21業者のうち10業者から、聴導犬では17業者中8業者から、また5 つの指定認定法人より2法人からと、関係各分野から満遍なく、参加していただきました。 また、これらの受講者は、訓練者としての経験年数も1年程度の方から10年以上の方までと 幅広いものがありました。


講義の様子 その1

 5日間の研修現場では、創設時の研修会にふさわしく、各講師の皆様方の非常に熱心な ご講義が展開されるとともに、受講者のひたむきな学習意欲などに恵まれて、素晴らしい 成果が得られたものと存じます。

講義の様子 その2

 本研修会の実施に際しまして、関係各位から多くのご指導とご協力を賜りまして、無事 終了することができましたことを心より御礼申し上げるとともに、受講者の皆様方が今回 の研修会で得られた知識を糧に、それぞれの現場でますますご活躍されますことをお祈り 申し上げます。
 最後になりましたが、開講式で行った当センター佐藤総長の挨拶の全文を御紹介させて いただきます。



〔総長挨拶全文〕
 皆さんおはようございます。
 9時きっかりに開講式が始まるということですが、この1週間びっしりとプログラムが 組まれております。朝早くから皆さまご苦労様でございます。
 このプログラムを拝見いたしまして、総合的なプログラムであると感じた次第でござい ます。関係者はご苦労なさって作られたと思うわけでございますが、今の社会保障制度や 障害者福祉の動向からリハビリテーションの内容、また聴導犬、介助犬、盲導犬とすべて の補助犬についての講義が計画されております。さらに、利用者の立場からもお話をいた だけるということで、正に最初に申し上げたように総合的なプログラムというか、研修の 内容であると思います。是非この研修を通して、皆さまの技術を更にアップしていただき たいと思います。受講される方々の名簿を拝見しますと5年さらには、10年以上の方が相 当数おられますので、受講される方も相当の経験をお持ちであるということで、是非受講 される方と講義される方がお互いに情報を交換されまして技術がお互いにレベルアップし、 この領域が更に進歩することを期待しております。
 私自身補助犬の訓練内容については詳しくないのですが、大学病院の外来に盲導犬を連 れて来られる方がおられました。10年位前でございましたので、外来の子供さんなどが犬 に興味を示すとか、場合によっては大学病院の中に盲導犬が入ってくるということにちょ っと戸惑いを感じておられるという方がおられました。今の時代になりますと問題はない かと思いますが、訓練の場面になりますと、多分基礎訓練というのは非常に大変なのであ ろうと思います。いろいろな指示事項、健康管理も含めて教えるということでしょうか。 またその後に、個々の利用者といいますか障害をもたれる方にどのように補助犬に介助、 介入していただくかを考えて訓練する、その辺もまた大変であろうと思います。
 障害をもたれる方は障害の程度がそれぞれに違う、またその方の生活しておられる場が それぞれに違います。そこで、生活環境を分析する、あるいはその方のもたれている障害 の内容を分析し、どのように効果的な介助をしていただくかということは、正に一つ一つ が貴重なデータとなっていくと思います。
 このような研修を行うにおいて、現場を見るということが百聞は一見にしかずという部 分もあろうかと思いますが、なかなか一つ一つの場面をそれぞれに提示するというのは難 しいとも思います。
 つい先日スカイメニュープロというのを見せていただきました。当センターで入れてい るスカイメニュープロというのは16チャネルで、先生専用のコンピュータがあって、15人 の生徒さんの一人一人にコンピュータがあって、静止画面であっても動画であってもそれ ぞれその生徒さん方に合った内容を送れるということです。これをいろいろな臨床の場面 で使ったらいろんなことができるのだなと思い、私にとっては非常な驚きでございました。
 こういう講義においても一つ一つの現場を経験するのは難しいでしょうけれども、当学 院では未だこのスカイメニュープロはございませんけれども、それ以外の方法によっても 細かい機能の評価であるとか、介入の方法であるとか、介入の効果というものを多くの人 が共通に理解することが現場がなくてもできる時代になってきておりますので、いろいろ と工夫しながら良い研修会になっていくことを期待しております。
 以上で、私からの挨拶とさせていただきたいと思います。