平成17年度 視覚障害生活支援研修会を終えて
研修担当責任者:指導部生活訓練課
生活訓練専門職 森 公士朗



 去る5月30日(月)から6月3日(金)の5日間、当センター学院に おいて、平成17年度視覚障害生活支援研修会を開催し、盛会裡に修了し ましたのでご報告いたします。
 各地域の視覚障害の方にかかわる生活支援員、介護員、教員、盲学校 寄宿舎指導員、児童指導員、ガイドヘルパー等、様々な職種の方々20名 が受講しました。
 本研修会は、基礎的な医学知識と援助技術等の講義を初め、移動介助、 パソコン、ロービジョンシミュレーション等の実技演習を経て、視覚障 害の方々への具体的な援助方法の習得を目指すものです。研修後は地域 の障害のある方々のニーズに応じた支援を実践しながら、各々の職場に おいて、その情報提供に努め、研修会における各職種間の情報交換を基 に築かれたネットワークを、地域の視覚障害の方々の支援体制作りに活 かされることを期待しております。
 なお、今回の研修内容は、別表のとおりです。今回は、「移動介助の 実際」と題し、電車の乗降やエレベーター昇降などの移動介助の技術の 習得を目指すとともにアイマスク体験も行っていただきました。「見え ない」という体験ができたことは、今後の支援方法等を考えるよい機会 となったものと思います。
 また、本研修会の大きな柱として、「生活活動の評価〜アセスメント シートの活用〜」の講義を新たに盛り込みました。これは、平成14年度 から15年度まで、厚生労働科学研究費補助金を受けて研究し、生活訓練 課を中心に「利用者の生活活動状況を把握する共通評価『日常生活活動 評価表(アセスメントシート)』」として作成したものです。この評価 は、利用者の現在の生活活動状況をありのまま把握することで、利用者 のニーズとともに訓練支援計画書策定の有効な指標となります。昨年度 の当センターの運営重点方針においても、普及を図ることが謳われてお り、今回、地域で支援を行う受講者にお伝えすることができて幸いでし た。受講者の皆様からは、今後の支援を行う際、活用してみたいとの声 が多く寄せられました。
 また、研修会の最終日に受講者の皆様へお願いしているアンケート調 査では、主な意見として、以下のように伺うことができましたので、ご 参照ください。




・行政の立場からの取り組み、問題点等についての講義が聞け、視覚障 害の方々の基本的な支援方法
 を多方面から理解することができた。
・アイマスクやシミュレーション体験ができたことと、当事者の方の生 の声が聞けたことで視覚障害の方々
 の気持ちを理解することにつながっ た。
・忘れてしまいがちな基本的な技術の意味や支援の理念について改めて 再認識できた。
・医学的な講義が聞け、難しいところもあったが、大変勉強になった。
・実際に行っている生活訓練の様子を見学したい。
・受講生の所属先、所在地が広範囲であるため、グループディスカッシ ョンのような全体で情報交換
 できる時間を設けていただきたい。


 受講者の皆様方からいただきましたご意見を参考としまして、来年度開 催予定の本研修会は、より充実した研修内容の提供を行いたいと考えてお ります。
最後に、業務ご多忙の中にもかかわらず、本研修会に、ご支援、ご協力い ただきました外部講師、内部講師の先生方に、厚く御礼申し上げます。


アイマスクをした状態で移動介助による電車乗降の様子
移動介助による電車乗降(アイマスク体験)


 
アイマスクをした状態で牛乳をコップに注ぐ様子
音声パソコンの講議の様子
牛乳をコップに注ぐ(アイマスク体験)
 
日本盲人職能開発センター井上英子課長による
音声パソコンの講議及び実技





〔別表〕
平成17年度 視覚障害生活支援研修会 日程表
月日 午前 午後
5月
30日
(月)
・開講式、オリエンテーション
(センター紹介ビデオ)
(10:00-11:00)
・センター見学
(11:10-12:00)
1.視覚に障害のある方のリハビリテーション
(13:00-14:00)
 国立身体障害者リハビリテーションセンター
  指導部 生活訓練課
  主任生活訓練専門職  渡邉 明夫
 
2.糖尿病と視覚障害
(14:10-16:20)
 国立身体障害者リハビリテーションセンター
内科医長   沼山 貴也
31日
(火)
3.視覚障害者の日常生活
1 講義              (9:00-10:30)
2 実技            (10:00-12:00)
 荒川区役所 障害福祉課
  心身障害者相談支援係長  石黒 清子
4.視覚障害者のコミュニケーション(パソコン)
1 講義             (13:00-14:30)
2 実技             (14:40-16:00)
 日本盲人職能開発センター
職能開発訓練課長 井上 英子
6月
1日
(水)
5.移動介助の基本テクニック
1 講義              (9:00-10:00)
2 実技            (10:00-12:00)
 国立身体障害者リハビリテーションセンター
  指導部 生活訓練課
生活訓練専門職  有馬 昭郎
生活訓練専門職  森 公士朗
6.移動介助の実際
1 講義             (13:00-14:00)
2 実技             (14:00-16:30)
 国立身体障害者リハビリテーションセンター
  指導部 生活訓練課
生活訓練専門職  有馬 昭郎
生活訓練専門職  森 公士朗
2日
(木)
7.眼疾患とロービジョン
(9:00-10:50)
 国立身体障害者リハビリテーションセンター
  病院 眼科医長   石田 みさ子
 
8.視覚障害者の支援
 −支援を受ける立場から−
(11:00-12:00)
 国立身体障害者リハビリテーションセンター
  理療教育部 教官  藤野 將昭
9.ロービジョンシミュレーション体験
1 講義             (13:00-14:00)
2 実技             (14:00-16:30)
 国立身体障害者リハビリテーションセンター病院
  第三機能回復訓練部
生活訓練専門職  中西  勉
3日
(金)
10.生活活動の評価
〜アセスメントシートの活用〜
 国立身体障害者リハビリテーションセンター
  指導部 生活訓練課
生活訓練専門職  森 公士朗
 
11.生活用具紹介
 国立身体障害者リハビリテーションセンター
  指導部 生活訓練課
生活訓練専門職   鈴木 克子
・閉講式
(12:00-12:30)