〔野鳥シリーズ44〕 |
リハセンターに飛来する野鳥を友に |
東京都福祉事業協会 母子生活支援施設 スタルト方南 見原 捷三(元理療教育部長) |
ソウシチョウ
平成17年6月1日に特定外来生物被害防止法が施行されて、日本国内
の生態系及び農林水産業に、影響を及ぼす恐れのある外来生物37種につ
いて、許可なく購入、販売、飼育することが禁止されることになりました。
この37種の中には、魚類のブルーギル、オオクチバスや爬虫類のカミ
ツキガメあるいは、哺乳類のアライグマそれに、鳥類のガビチョウなど
が規制の対象になっています。
ところで、昨年の夏頃、カメラを構えてセンター構内を車で移動して
いた際、陸上競技場近くで、写真のとおり、ソウシチョウに出会いまし
た。
このソウシチョウは、もともとヒマラヤ、ビルマ、ベトナム等に生息
していたのを、中国や日本で飼育するようになり、日本では1980年代か
ら飼い鳥が野生化して、今では全国各地で繁殖しているようです。
容姿は全長15cm、上面はオリーブ褐色、顔は淡黄色をしており、地鳴
きは「ジェツ、ジェツ」又は「フィー、フィー」と鳴きます。
こうした、外来種の飼い鳥が、籠脱けして野生化したものは、この外、
以前ニュースにもなった、セキセイインコやホンセイインコが数百から
千羽の単位で群れをなして野生化し、野鳥の世界でも生態系に影響が出
始めているようです。
世界的な規模で自然環境が破壊されている今日、人間が住みやすい環
境を維持していくためには、条例や法律に頼ることなく、一人一人が身
近な自然環境を大切にする心構えが欲しいものです。最近、夏鳥、冬鳥
共に種類によっては、数が少なくなってきました。これは、繁殖地で森
林伐採が進み、生息環境が狭められていることに起因しているようです。
この一枚の写真から、自然の大切さを学んでいただければ幸いです。
なお、平成14年1月の219号でドバトの記事を書いた際に、ドバトは
元々飼い鳥で野鳥の仲間ではないと書いておりますが、このソウシチョ
ウもドバト同様に飼い鳥が野生化したものですから、野鳥ではないことを
念のため申し添えます。