〔野鳥シリーズ45〕
リハセンターに飛来する野鳥を友に
東京都福祉事業協会 母子生活支援施設
 スタルト方南 見原 捷三(元理療教育部長)



トビ
 今回から数回に分けて、目を上空に転じていただき、大空を悠々と飛んでいる鳥を 掲載したいと思います。  先ず、最初にカラスやスズメ同様、我々に馴染みの深いトビを取り上げました。
 トビは、全長が雄、約58.5cm、雌、約68.5cm、翼の開帳157〜162cmもある翼と尾が 長い大型のタカですが、体重は意外に軽く、660〜1,075gしかありません。色は黒褐色 で淡色の羽緑があり、嘴は黒く足は灰青色をしています。
 日本では、九州以北に留鳥として分布し、寒冷地に生息する一部は、冬になると暖地に 移動します。生息地は、全国各地の海岸、水田、河川、湖沼に棲息していますが、最近は ゴミの豊富な都市部でも良く見かけます。
 繁殖期の4月から5月にかけて、平地から低山の大木に枯れ枝を積み上げて、皿状の巣 に2〜3個を産み抱卵日数約30日、その後、約40日で巣立ちます。
 餌は、主に死肉を食べ、時にはカエルや蛇、ミミズ、鳥等の生きている小動物も食べますが、 主食はネズミの死体や弱った魚ですから、オオタカやサシバのように鳥や獣を追って捕獲するという 精悍さや勇壮さはないので、トビが上空に現れても他の猛禽類のように、野鳥が慌てて 飛び立つことは少ないようです。
 そこで、トビと他の猛禽類との見分け方を説明しますと、飛翔の際、尾が三味線のばち のような三角形をしていること、また、飛んでいるのを下から見ると白斑が目立ちます。 (いずれも写真左)鳴き声は、飛行中にピーヒョロヒョロと良く響く声で鳴き、 ゆっくりした羽ばたきを混ぜながら、翼を水平に保って帆翔します。この3点がトビの特徴です。
 ところで、トビは俗にトンビとも言います。このトンビの愛称で、皆さんもご存知のとおり歌 の世界でも三橋美智也が「トンビがぐるりと輪をかいたホーイのホイ」と歌い、また、 平凡な親が優秀な子どもを産むことを「トンビがタカを生んだ」と言いますが、 トビもタカの仲間ですから、鳥類学上では、おかしな諺ではないでしょうか。まあ、 あまり屁理屈を言うつもりはありません。
 それだけ身近な野鳥と思って観察していただければ、トビと他のタカの仲間との識別が 判ってくると思います。


(写真)とびが大空を飛ぶ様子  (写真)とびが電線にとまっている様子