〔更生訓練所情報〕
一般リハビリテーション課程
合同野外訓練を終えて
指導部指導課 生活支援員 佐々木 桂



はじめに
 7月14日(木)〜15日(金)の日程で、今年度も一般リハビリテーション課程 の野外訓練(以下「キャンプ」という。)を全障害(肢体、聴覚、視覚、内部、 高次脳)合同で実施しました。
 共に国リハで生活していながら、なかなか障害間で交流できる場が少ない現状 のなかで、お互いの障害特性を理解しながら、同じ目的に向かって協力しあい、 豊かな人間性や社会性を培う機会を提供すること、また自然にあふれた環境の中 で様々な体験を行い、普段のストレスなどを発散し十分にリフレッシュすること を目指して、計画はスタートしました。

計画に当たって
 今回は食事・レクリエーション等の各役割班を編成して様々な企画を用意しま した。1日目の夕食では、各グループが趣向を凝らしてどんな料理を作るのかを 競い合う「料理の鉄人大会」を企画したほか、両日に渡るレクリエーションでは 障害状況にも配慮し音と映像でも楽しめる企画を多数用意しました。
 その中でも、今回のキャンプの大きな企画の一つに、「お酒の販売」の試みが ありました。成人の入所者にとっては当然あってしかるべき内容ですが、安全性 の確保や未成年者への配慮もあり、実施に至るまでには何度も検討を重ねました。

キャンプ当日
 参加者は入所者130名、職員39名、総勢169名で、大型バス5台を連ねての出発 でした。場所は昨年同様、「東京YMCA山中湖センター」です。当日の朝、現地で は霧雨が降っていると先発隊から伝えられていましたが、到着するまでには回復 し、結果的に2日間とも大変良い天候に恵まれました。
 夕食を兼ねた「料理の鉄人大会」では、序盤激しい食材争奪戦となり、希望ど おりに調理が進まない場面もありましたが、思いがけない展開によりメンバー同 士での工夫や協力が見られ、各班すばらしい創作料理!?のオンパレードとなりま した。最後には食材もほとんど無駄なく調理され、更においしく頂けたことは何 よりでした。


(写真)料理の鉄人大会
料理の鉄人大会

 その後全員参加のクイズ大会で大盛り上りをみせた後、キャンプファイアー・ 映画鑑賞と夜のレクリエーションは続きました。
 それと同時に食堂にてお酒の販売が行われました。何しろ初めての試みであっ たので、職員も気を引き締めて取り組んだのですが、メンバー自身がきちんと自 覚をもって時間や場所、その他のルールをわきまえて行動してくれ、事故や体調 不良者を出すこともなく無事に計画が終えられました。飲酒後についても、ゆっ たりと仲間と過ごす時間と場所があったため満足感も得られたのではないでしょ うか。
 2日目は終日快晴の空の下でレクリエーションが行われました。カヌー・ボー ト体験、ペットボトル飛ばしにおいては、日常的に体験できないことだけに、そ れにチャレンジしながらも楽しんでいた方が多くいたと思います。
 また、映画鑑賞、フラワーパーク見学、写真撮影など、比較的自由に過ごされ た方々は、普段のストレスを癒すかのようにのんびりしている様子で、それぞれ に満足していただけたのではないでしょうか。

全体を通して
 各障害間のコミュニケーションについては、グループでのクイズ大会などを通 じて相手の意見を聞いてみよう、自分の意見を伝えてみようとする場面が多く見 られました。特に聴覚障害の方に対して、楽しい感情などを一緒に共感しようと 、身振り、手振り、表情など様々な表現方法を使って伝えようとしている姿はと ても印象的でした。
 また、肢体不自由の方など行動・移動する際にうまくいかない方に対しては、 出来る方が率先して手伝ったりと、キャンプを成功に導くためにお互い協力がで きたことは、キャンプの大きな成果であったと思います。
おわりに
 今回のキャンプは、大きなケガや病気・事故もなく、計画していたプログラム を無事に終えることができました。参加者全員がキャンプを実りあるものにしよ うという意気込みが、今回の成果に結びついたと感じています。
 様々な面でサポートしていただいた職員の方々、また計画段階から意見を取り まとめていただいた実行委員のメンバーにこの場を借りてお礼を申し上げます。

 さらに来年度は、キャンプのあり方について一般リハビリテーション課程のみ ならず、更生訓練所全体でどのように取り組むのかを検討していきたいと思って います。
 併せて、今回のキャンプについてのアンケート結果をまとめましたので、以下 のとおり報告いたします。




★平成17年度野外訓練に関するアンケート調査結果★
《入所者・職員総計》




(1)参加者数 169名
(2)回答者数 100名
(3)回収率 59.2%
(4)アンケート結果 以下参照


〈肯定・満足〉 どちらともいえない 〈否定・不満足〉
(1) 日程(7月中旬の1泊2日) 75 (78.9%) 16 (16.8%) 4 (4.2%)
(2)
1日目夜(炊事) 企画 74 (74.0%) 19 (19.0%) 7 (7.0%)
62 (62.6%) 30 (30.3%) 7 (7.1%)
2日目朝(食堂) 企画 74 (74.7%) 20 (20.2%) 5 (5.1%)
77 (77.8%) 20 (20.2%) 2 (2.0%)
2日目昼(食堂) 企画 68 (68.7%) 22 (22.2%) 9 (9.1%)
68 (69.4%) 21 (21.4%) 9 (9.2%)
(3)
お酒を販売することについて 52 (54.7%) 36 (37.9%) 7 (7.4%)
来年も販売することについて 64 (67.4%) 28 (29.5%) 3 (3.2%)
(4)







1日目夜 クイズ大会 63 (68.5%) 26 (28.3%) 3 (3.3%)
キャンプファイヤー 39 (53.4%) 31 (42.5%) 3 (4.1%)
映画鑑賞 17 (27.0%) 37 (58.7%) 9 (14.3%)
花火 47 (71.2%) 17 (25.8%) 2 (3.0%)
2日目 カヌー・ボート体験 40 (83.3%) 7 (14.6%) 1 (2.1%)
ペットボトルロケット 33 (80.5%) 7 (17.1%) 1 (2.4%)
映画鑑賞 6 (24.0%) 16 (64.0%) 3 (12.0%)
自由レク 24 (68.6%) 10 (28.6%) 1 (2.9%)
フラワーパーク「ふらら」 22 (64.7%) 11 (32.4%) 1 (2.9%)
(5) 宿泊施設(YMCA山中湖センター) 58 (59.8%) 31 (32.0%) 8 (8.2%)
(6) 障害合同での実施について 78 (80.4%) 14 (14.4%) 5 (5.2%)
今年と同様 障害別 全入所者(理教・製訓含)
(7) 来年はどのような形でキャンプがしたいか 61 (69.3%) 12 (13.6%) 15 (17.0%)