〔学院情報〕
平成17年度手話通訳士専門研修会
を終えて
学院 手話通訳学科教官 市田 泰弘



 学院では今年度も10月17日から21日までの5日間の日程で、手話通訳士専門 研修会を実施しました。本研修会は、厚生労働大臣公認手話通訳士試験の合格 者を対象とし、さらなる技術・知識の向上に寄与することを目的として実施し ています。今年の研修には17名が参加しました。
 最近では同種の研修会が民間でも開催されていることもあり、昨年度よりセ ンターが手話通訳養成に取り組む中で蓄積してきたノウハウを地域に還元する という位置づけを明確にし、その独自性を打ち出しているところです。
 具体的には、学院手話通訳学科における通訳指導の最新の理論と実践の紹介 を中心にすえ、それらを受講者が十分に消化し、地域での指導や自己研鑽に役 立てていただけるように、ディスカッションの時間を多く取り入れるなどプロ グラムを工夫しました。例えば、通訳トレーニング実技では受講者を3グルー プに分け、3人の講師による通訳指導の実際を順次体験していただいた上で、 最後に講師陣とのディスカッションの時間をとるというセッションを、5日間 の日程の中で3回繰り返すという方法をとりました。これにそれら通訳トレー ニングの基盤となる理論を講義形式で織り交ぜることで、理論と実践を有機的 に結びつけることを目指しました。
 通訳トレーニングについては、手話通訳学科スタッフに加えて、日ごろ養成 で実技を担当していただいているネイティブの講師の先生方の全面的な協力を 得ました。また、より実際場面に則した分野(医療場面、政見放送)について は、例年どおり日本手話通訳士協会の協力をいただきました。さらに、障害者 自立支援法成立後の変化に対して、どのような視座をもって対応していくかと いうテーマで、横浜ラポール聴覚障害者情報提供施設の北村和武施設長をお迎 えしお話しいただきました。
 受講者アンケートを見る限り、実技を充実させ、さらにそこに理論を有機的 に結びつけていくという目標はおおむね達成できたものと考えられます。今後 もセンターでしか学ぶことのできない質の高い研修を提供できるよう工夫を重 ねていきたいと思います。


(写真)通訳指導体験後のディスカッション
通訳指導体験後のディスカッション



平成17年度手話通訳士専門研修会日程表


  午前 午後
10月
17日
(月)
開講式・ガイダンス
(10:00〜12:00)
@ 手話通訳実技T
(13:00〜17:00)
  世田谷福祉専門学校
非常勤講師    赤堀仁美
  東京家政大学
非常勤講師    越後節子
  国立身体障害者リハビリテーションセンター
学院教官     木村晴美
18日
(火)
A 手話言語学T
( 9:00〜12:00)
  国立身体障害者リハビリテーションセンター
学院教官     市田泰弘
B 医療場面における手話通訳
(13:00〜16:00)
  日本手話通訳士協会 会長
小椋英子
C 手話言語学U
(16:10〜17:10)
  国立身体障害者リハビリテーションセンター
学院教官     市田泰弘
19日
(水)
D 手話通訳実技 U
( 9:00〜14:00)
  東京家政大学
非常勤講師    海野和子
  国立身体障害者リハビリテーションセンター
学院教官     小薗江 聡
  国立身体障害者リハビリテーションセンター
学院教官     市田泰弘
E 政見放送における手話通訳
(14:10〜17:10)
  日本手話通訳士協会 理事
山田京子
 
 
 
 
20日
(木)
F ろう者の社会と文化
( 9:00〜12:00)
  国立身体障害者リハビリテーションセンター
学院教官     小薗江 聡
G 手話通訳実技V
(13:00〜17:00)
数見陽子
  NHK手話ニュースキャスター
河合祐三子
  国立身体障害者リハビリテーションセンター
学院教官     木村晴美
21日
(金)
H 対照分析・翻訳 T
( 9:00〜10:00)
  国立身体障害者リハビリテーションセンター
学院教官     市田泰弘
I 手話通訳事業
(10:10〜12:10)
  横浜ラポール聴覚障害者情報提供施設長
北村和武
J 対照分析・翻訳 U
(13:10〜15:10)
  国立身体障害者リハビリテーションセンター
学院教官     市田泰弘
 
閉講式
(15:10〜15:25)