新年のご挨拶
総長 佐藤 コ太郎



 皆さん、新年おめでとうございます。
 この新しい年が、国立身体障害者リハビリテーションセンターの新たなる発 展の年となりますように願っております。
 現在、行政改革が強力に進められており、効率的運営による高い成果ととも に、諸活動の透明性が求められております。そのような中で、当センターでは 、適切なリスク管理の下に真に利用者のための活動を展開することを目指して おります。
 本年は、自立支援法が実施に向けて動き出しますが、当センターでは率先し てその実施モデルを提示していくことが必要です。これまでの、高次脳機能障 害、知的障害、精神障害等を含めた活動実績から見て、当センターにはその役 割を担いうる経験とエネルギーが内在していると考えております。
 支援費制度から自立支援法への変革に対するこれまでの当センターでの取組 は、更生訓練所における全員参加のもとに進められております。就労移行支援 を例にとると、当センター内での清掃、メール作業、売店での就労体験などを 職場実習計画に組み入れることも検討されています。また、自立訓練支援には 社会生活技能訓練のほかに健康管理や食事管理の指導などの強化も計画されて おります。さらに、盲ろうや精神障害、発達障害などを対象とする支援がプロ ジェクト方式で進められる予定です。これらの計画を実施するには、病院、研 究所、学院などの協力が不可欠であり、センター全体でこの変革に取り組む必 要があります。幸いに、入院中から職業評価・訓練を行い、早期に職業訓練に 移行し職場復帰を実現するなど、障害の予防と医学的リハビリテーションから 社会統合まで一貫したサービスの提供を強化してきております。また、シーテ ィング適合サービスや義肢・装具製作などにおいて、病院と研究所さらには学 院との連携の輪が大きくなってきております。このような各部署の連携を一層 強化すべきであり、そのことによって、現在積極的に進められている認知障害 への新しいサービスの開発や遺伝子研究などの成果を取り入れた細胞生物学的 な治療法の開発が大いに期待されます。
 このようなセンター内での協力関係の強化に加えて、国内外との協力事業も 重要です。国内における協力事業としては、高次脳機能障害モデル事業が全国 12地域の協力を得て行われ、その成果が全国展開に向けて活用される段階とな りました。次には、自立支援法を適切に運用して障害のある人々の自立と社会 参加を促進するために、全国福祉施設等の中核となって、サービスモデルの提 示とその有効性の実証を進めることが期待されております。さらに、いくつか の産官学の研究・開発も行われてきており、その成果が期待されるところです。
 関係者の努力によって、中国やチリへのこれまでの海外技術協力が高く評価 されております。また、米国、カナダ、スウェーデン等との研究・開発におけ る国際協力が進められており、さらに世界情報社会サミットにおいては障害者 部門の中心的役割を果たしております。このような中で、リハビリテーション に関する我が国の情報の提供や海外技術協力に関する相談を受けるなどの機会 が増しております。
 センターを取り巻く環境が大きく変化している時こそが大いなる活躍の機会 であり、この年頭にあたり、センターの新たなる発展のために関係者各位の一 層のご協力をお願いする次第です。