〔更生訓練所情報〕 |
地域の事業所・授産施設等の見学について 〜職業適応指導・支援の推進〜 |
職能部 職能判定専門職 上野 久美子 |
今年度、職業適応指導・支援の一環として、実際に就労している人を見学す
ることにより、利用者の訓練意欲を高め、就労への後学に活かすことを目的と
した地域の事業所・授産施設の見学を積極的に行いました。
(見学概要)
6月に見学を実施した授産施設「あさか向陽園」(利用者7名、職員3名の
参加)では、身体障害者に加え、知的障害者の受け入れを始めています。授産
内容は印刷、加工、縫製などを行っていました。
9月には、事業所見学を2か所行いました。「伊藤忠ユニダス(株)」(利
用者12名、職員4名の参加)と「南信産業(株)」(利用者9名、職員3名の
参加)です。
「伊藤忠ユニダス(株)」は、伊藤忠商事(株)の特例子会社で、事務・印
刷関係、クリーニング等の業務内容があり、職能訓練の修了生も勤務していま
す。また、職場実習も受け入れていただいています。「南信産業(株)」はク
リーニング、リネン等の事業所であり、こちらも修了生が勤務しています。
10月には、身体障害者授産施設である「世田谷更生館・友愛園」と「泉の家
」(利用者7名、職員4名の参加)を見学しました。「世田谷更生館・友愛園
」では、アロマテラピー製品の製作などの新たな事業を取り入れており、時代
のニーズに合わせた授産作業を行なっていました。「泉の家」はアートな作品
づくりに力を入れており、本人のやりがい・生きがいを重要視して活動を展開
していました。
11月は、職能訓練の利用者と職能部職員全員を対象とし、所沢市内にある「
パイオニア(株)」を見学しました。総勢74名が参加し、午前と午後に分かれ
て見学させていただきました。場所が近いこともあり、徒歩・車いすでの移動
と大型バスでの移動に分かれ、気分転換も兼ねた見学となりました。リサイク
ル関連を中心とした工場見学と、障害者の働く現場を見学させていただきまし
た。
なお、7月に予定されていた「コロニー東村山印刷所」の見学は、台風のた
め中止となりました。
(参加者アンケートの結果〔一部〕)
「あさか向陽園」
1 見学内容について(図1)
2 今回の施設見学について(図2)
3 意見・感想
・このような見学をもっと増やしてほしい。
・活気があるように感じられた。設立が古い割には清潔感があった。
「パイオニア(株)」
1 見学内容について(図3)
2 今回の事業所見学について(図4)
3 意見・感想
・今まで事業所見学の経験がなく、とても勉強になり自分にとってプラスになった。
・働くことは大変だと思った。
・障害のある方の働く姿を見て、励みになった。
・現場の障害者と直接話がしてみたかった。
・いろんなものがリサイクルされていて、地球環境にとてもいい会社だと思った。
・障害者の働いている現場をもっと見たかった。
事業所・授産施設の見学は、訓練場面だけでは学ぶことのできない貴重な体
験であり、肯定的な意見が多くありました。反省点として、全般的に利用者の
積極的な質問や発言がとても少なかったことが挙げられます。職員が準備した
見学よりも、利用者がもっと主体的に計画し、活動参加できるような支援が必
要ではないかと考えられました。
(まとめ)
今年度の職業適応指導・支援では、事業所・授産施設の見学のほかに、ハロ
ーワーク所沢の障害担当の方から「ハローワークの利用の仕方について」や、
就労している修了生から「修了後の就労・生活について」の講演をしていただ
くなどの支援も行いました。
障害者自立支援法が成立し、次年度から当センターにおいても新事業が展開
されます。このような見学や講演会の機会を継続するとともに、実際の就労体
験の機会も増やし、就労につながる支援を充実させたいと考えます。今まで以
上に利用者に「来てよかった」と思える魅力ある施設を目指し、次年度以降も
職業適応指導・支援を充実させていきたいと思います。