〔学院情報〕
平成17年度 リハビリテーション
看護研修会に参加して
研修副担当:病院看護部 4階病棟看護師長 安濟 ノブ



 リハビリテーション看護研修会が「障害と看護」をテーマに、平成17年10月 25日から10月28日の4日間、受講者51名の参加のもと開催されました。平成16 年度までの本研修会の目的は「リハビリテーション看護に必要な基礎的知識を 習得し、その資質向上を図るとともに、障害者の看護の充実に資する」ことで した。しかし、最近では様々なところにリハビリテーション看護研修会の開催 が浸透してきており、受講者から本研修会に参加してより専門的な新しい知識 や情報を得たいとの声が上がっていました。そこで今年度から「研修目的を専 門的知識の習得とし、受講資格もリハビリテーション看護に3年以上の実務経 験があること」としました。
 今回の受講者の方々は、北は宮城県、南は沖縄県からの参加があり、施設別 では福祉施設から23名、リハビリテーション病院から21名、一般病院から7名 の合計51名の参加でした。障害者のリハビリテーション看護に従事した経験を みると、3年以上5年未満が16名、5年以上10年未満が12名、10年以上20年未 満が15名、20年以上が8人でした。実務経験豊かな方の参加が多く、より専門 的で新しい情報を学ぶために受講している様子が伺えました。
研修プログラムについては別添のとおりです。受講者からは活発な質問があり 、ケア提供者としての資質向上、障害者の看護を向上させようとしている熱意 が伝わってくる研修会でした。
 研修会終了後のアンケート結果をいくつか紹介します。「テーマが幅広く多 方面からの講義でありよかった」、「どの講義も実践に活かせる」、「興味深 く、現場で役立つ内容であった」、「講師陣がすばらしく、資料も充実してい た」、「スライド・ビデオの講義も見やすく分かりやすかった」、「実際のこ となど映像で見ることができ勉強になった」、「最新の情報を得ることができ た」という意見の反面、「講義だけではなく演習やグループワークを取り入れ て欲しい」、「具体的な事例をより多く紹介して欲しい」といった要望もあり ました。
 アンケート結果を参考に、次年度の研修会がより充実したものになるよう努 力していきたいと思います。また、受講者の皆様方がそれぞれの職場でますま すのご活躍をされますことを祈念いたします。
 ここで当センター病院4階病棟から参加した古屋純子さんの感想を掲載します。


4階病棟 古屋純子


 研修会のテーマは「障害と看護」で講義は幅広い視点からのアプローチでし た。現在、私が勤務している4階病棟は、高位頸髄損傷、切断、脳血管障害、 主として障害のある方々の内科的治療、糖尿病コントロール、ひ尿器科治療、 検査、手術などの患者さんが入院する病棟です。高位頸髄損傷の患者さんの中 には人工呼吸器を装着している方もいます。異常の早期発見に努め合併症を予 防し、その方がベストコンディションでリハビリテーションが行えるように、 健康管理は重要です。安全で安楽な看護を日々実践しています。
 今回の研修で、「家族心理教育」、「家族ケア」の講義内容は、日々家族看 護を行う上で、これまで持っていた知識や経験してきた以外の新しい学びが多 く、実りある講義でした。「家族心理教育」では、家族が自己決定や自己選択 ができるよう指導する。例えば家族から相談を受けた時、「問題をすっきりと 解決する」ことではなく、「問題を抱えていてもなんとかやっていける」と思 えるようになっていただけるような教育・支援が大事であるといった講義でし た。また、「家族ケア」では看護師の役割として患者さんの全体像を見ること 、理論的根拠と家族のバックグラウンドをみながらケアしていくことが重要で あることを学びました。
 質の高いリハビリテーション看護の役割を果たすには、多くの知識と経験が 必要であると再認識すると同時に、看護師として社会的役割を果たすためには 生涯学習が必要と痛感しました。今後は課題意識を持ち、研修で学んだことを 看護実践に活かして行きたいと思います。今回忙しい業務の中、貴重な時間を 研修として与えていただきありがとうございました。


(写真)講議(リハビリテーション看護師の役割)の様子
講議(リハビリテーション看護師の役割)の様子

(写真)質議応答の様子の様子
質議応答の様子の様子
(脳損傷者における機能性尿失禁のリハビリテーションプログラムについて)



平成17年度 リハビリテーション看護研修会日程表


テーマ:障害と看護

日付 午前 午後
10月
25日
(火)
開講式・オリエンテーション
9:30〜10:20
(1)障害者福祉の動向
10:30〜12:00
 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部
 障害福祉課
障害福祉専門官   渡邉雅浩
(2)知的障害の医学と療育
13:00〜15:00
国立秩父学園園長 吉野邦夫
 
(3)リハビリテーション看護師の役割
15:10〜16:40
 国立身体障害者リハビリテーションセンター病院
 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部
看護部長     堀 房子
10月
26日
(水)
(4)脊髄損傷と性
9:00〜10:30
 国立身体障害者リハビリテーションセンター病院
看護師       道木恭子
 
(5)摂食嚥下障害のリハビリテーション
10:40〜12:10
 国立身体障害者リハビリテーションセンター病院
言語聴覚士長    白坂康俊
(6)転倒・転落防止
13:30〜15:00
 金沢大学大学院医学系研究科
教授       泉 キヨ子
 
(7)口腔ケア(演習含)
15:10〜16:50
  ナーシングホーム「気の里」
施設長     田中靖代
10月
27日
(木)
(8)家族心理教育の実際
9:00〜10:30
 国立精神・神経センター精神保健研究所
社会復帰相談部長  伊藤 順一郎
 
(9)脊髄損傷の排尿管理
10:40〜12:00
 国立身体障害者リハビリテーションセンター病院
ひ尿器科医長    永松秀樹
(10)排便プログラムと生活指導
13:30〜15:00
 コンチネンス・ジャパン株式会社
専務取締役      西村 かおる
 
(11)高次脳機能障害
15:10〜16:40
 国立身体障害者リハビリテーションセンター病院
第二神経内科医長   三輪隆子
10月
28日
(金)
(12)高次脳機能障害者への看護アプローチ
9:00〜10:30
 国立身体障害者リハビリテーションセンター病院
看護師長      横田 美恵子
 
(13)脳損傷者における機能性尿失禁のリハビリテーションプログラム
10:40〜12:10
 つくば国際短期大学
講師        長島 緑
(14)家族ケア
13:30〜15:30
 家族ケア研究所所長  渡辺裕子
 
閉講式
15:40〜16:10