〔福祉用具紹介シリーズ2〕
音声ICタグレコーダ(ものしりトーク)
指導部生活訓練課



 視覚障害者にとって不便なことの一つが、ものを判別することです。たとえば、買っておいた缶詰があっても、触っただけでは、何の缶詰かわかりません。自分の衣類についても、色や柄がわからず、好きな服を探すのに苦労します。このほかにも、CDや書類など様々な日常生活で使うものについて、種類を見分けることがなかなか難しいのです。
 今回ご紹介する「ICレコーダ」は、円形のタグにあらかじめ判別したいものの特徴を録音し、そのものにタグをつけておき、専用の読み取り装置を近づけるだけで、録音しておいた内容が音声化されるものです。ものの情報が、音声で簡単に確認できるようになります。たとえば、食品などに、あらかじめ賞味期限や食品の種類を録音したタグを付けておけば、読み取り装置を近づけるだけで、その情報が音声でわかるわけです。簡単な調理方法などの情報を入れておいたり、衣類であれば、洗濯の注意点などの情報を入れるなども、便利な使い方です。一つのタグには3分程度の録音が可能です。
 録音の仕方は、対象物のタグに向かって「読む」ボタンを押し、タグがあらかじめ持っている識別番号を読み取ります。そして「録音」ボタンを押しながら、リーダ本体に向かって録音したい内容を話すだけです。また、タグは500円玉ほどの大きさのものと、衣服につけられるよう、ピンのついた袋に入る小さなもの、カードケースなどに入れられる薄型のものといった3種類が用意されています。

(タグの大きさ)
標準型(直径)30×(厚さ)2.1mm
小型 (直径)16×(厚さ)2.1mm
薄型 (直径)30×(厚さ)0.5mm

 タグは、食品とともに冷蔵庫に入れたり、衣服とともに洗濯をしたり、何度も録音し直して使用することが可能です。
 また、録音は、タグだけでなく、録音、読み取り装置本体(ICレコーダ)にも、1件3分で最大20分のメモ録音としての機能も付いています。病院受診をした際の医師の指示や、薬の内容などをメモしておくなどの使い方もあるかと思います。
 本体の大きさは、幅60mm×奥行140mm×高さ22mmで、少し大きめのテレビのリモコン程度の大きさです。
 値段は、3種類のタグ(総数50枚)がついて、59,800円です。
 この機器は、視覚障害者だけではなく、記憶や認知障害を有する高次脳機能障害の方で、毎日のスケジュール管理を行う際など、その日ごとのスケジュールを録音したタグを、カレンダーの日付ごとに張っておく、あるいは、薬の飲み方を録音したタグを、薬箱に付けるなどにより、記憶の補助機器として活用することなども考えられます。



(写真)ものしりトークの使用方法 (写真)ものしりトークとICタグ