〔野鳥シリーズ50〕
リハセンターに飛来する野鳥を友に
日本福祉教育専門学校
見原 捷三(元理療教育部長)


アカショウビン
 野鳥シリーズも今回で50回になりました。このシリーズも10年目を迎え、長年のご愛読に感謝申し上げます。思えば、平成9年4月、当時の総務課長東山さんから、野鳥の記事を書いて欲しいと依頼されて、第180号のトピックスの欄に珍鳥(本来は国内で観察できない鳥のこと。)タカサゴモズの記事を書いたところ、好評につき、シリーズで掲載して欲しいというのが発端でした。以来、今回まで50回を重ねることになりましたが、この間、平成15年4月に現管理部会計課福田課長補佐が、企画課でこの任に当たっておられた時に、白黒からカラーになったことに加え、なんとか50回は続けて欲しいと依頼され、今日に至りました。
 実は5年前、私は悪性リンパ腫という血液のガンを告知されたものの、治療を続けながら東京都福祉事業協会の前池堂理事長のご理解を得て勤務させて戴き、それが原動力になり、一方では、このシリーズを御覧になっている方々にお会いした際、或いは年賀状に「野鳥の記事を楽しみにしています。」との添え書きに力付けられて、このシリーズの目標をクリアーしたことを感謝しています。 勿論、目標50回は、前述のとおり福田さんと私の約束で、読者の皆様は知る由もないことですが、お会いする多くの方々から連載を望む声がありますので、もう少し続けてみることに致しました。
 折しも私は、本年3月をもって退職し、現在は野鳥を求めて野鳥観察・写真撮影の日々を送っていますので、これからはとっておきの写真を含め、時には、リハセンターの構内では見られない、美しい鳥達の写真をご紹介したいと思います。
 その手始めに、私のバードウォッチング歴20数年間、追い求めていたアカショウビンを、50回の区切りに掲載することにしました。この写真は、本年6月仕事を辞め時間にゆとりができたので、福島県裏磐梯の桧原湖畔に出かけ、ペンションのご主人のご案内で、念願のアカショウビンを撮影できました。最もこの鳥は、沖縄など南の島では、極一般的に見られるそうですから、皆様の中には、既にご覧になっている方もいられるのではないでしょうか。
 塩原でも10数年前には、箒川沿いの渓谷に飛来していたことを、塩原センター在任中、地元の方や、当時教務課におられた逢坂教官から、独特の鳴き声を聞いたことがあると教えてもらったことがありました。
 ところで、私達の自然環境は、地球温暖化、東南アジア或いは南米での森林伐採などにより悪化しており、以前はどこででも見られた野鳥が、このアカショウビンを含め、めっきり少なくなったと、野鳥仲間の間で話題にのぼります。
 確かに、野鳥を始め動植物は、自然環境のバロメーターと言われており、野鳥が姿を消し身近で観察できなくなったということは、それだけ自然破壊が進行していることを示しています。私達は、この素晴らしい地球を、後世に残す義務が課せられています。そのために、エネルギーの消費を抑え温暖化防止に心掛けたいものです。
 さて、このアカショウビンは、全長約27cm、雌雄同色で、全体が写真のとおり褐色を帯び、赤い色をした大変美しい鳥です。嘴も赤色で太くて長いのが特徴です。生息地は、東南アジアですが、北方で繁殖するものは冬に南方に渡ります。
 日本では、北海道・本州・四国・九州・沖縄の各地に夏鳥として5月上旬頃に渡来して、低地から山地の薄暗い林の中で、キツツキが使わなくなった巣穴を使用して繁殖し、8月下旬には、再び東南アジアに向かって旅立ちます。
 捕食の際は、木の枝に止まって昆虫・カニ・カエル・ムカデ・クモ・小魚などを捕らえ元の枝に戻り獲物を木の枝に叩きつけ飲み込む、大型のカワセミの仲間です。
 鳴き声は、「キョロロロロー」と尻下がりの震え声はまるで、口笛のようにも聞こえ夜明け頃や、雨で周囲が暗い時に良く鳴きますので、この鳥の別名を、アメフリドリ・アメコイドリ・ミズコイドリ・ミズコイ等の他に、色に由来してナンバンドリ・トウガラシショウビン・アカカワセミ等の地方名もあります。これは、まさに火の鳥です。写真でしかお見せできないのが残念です。


 
  (写真)アカショウビン