〔研究所情報〕
外国人特別研究員紹介
 



 当センターでは、日本学術振興会の外国人特別研究員事業による、諸外国の若手研究者に対し、外国人特別研究員の受入れを行っています。本号では、現在、当センターで研修されているハフィド・ニニスさんをご紹介します。


(写真)ニニス氏と電動車いすの走行シミュレーター

あいさつ
 ハフィド・ニニスと申します。年齢は33歳です。わたしはモロッコに生まれ、3歳からはフランスで育ちました。幼い頃は山に囲まれた静かな村で暮らしていました。私は、主にアルザス地方にあるストラスブルグ大学で研究していました。もしこの名前に聞き覚えがあるなら、あなたはかなりのワイン通かもしれませんね。またこの地域はブドウ畑以外にも自然の多い観光地でもあります。
来日について
 全ては博士課程に進学した際に始まりました。私が所属していた研究室は、障害のある方に対する福祉機器に着目した自動制御の研究を行っていました。私自身の研究のテーマは、操作技術の訓練と評価を目的とした電動車いすの走行シミュレータの開発です。研究を行うにあたり、関連研究を調べていたところ、直ぐにNRCDでの走行シミュレータの開発に関する井上氏の論文が見つかりました。
 研究に関する詳しい情報を得るため、井上氏にコンタクトを取ったところ、私と井上氏の研究は極めて関連が深いことが分かったのです。そこで私はNRCDでポスドク(博士課程取得後の非常勤研究職)として研究できないかを井上氏に相談しました。私は井上氏が快く引き受けてくれた事にとても感謝しています。またJSPS基金とNRCDの受け入れにより、2004年1月に日本に来れた事に深く感謝しています。
 私がフランスで設計したシミュレータは一から十まで"手作りのシミュレーション システム"で、それはかなりの低予算でしたが目的に関しては極めてよく作動しました。また、良かった点は、そのプロジェクトの達成のために、私自身が多くの新しい技術を習得できた事です。NRCDのシミュレータはそれぞれの分野に精通した専門技術者達によって製作され、高性能なシュミレータが完成しています。この経過を見る事はとても興味深いです。
 来日のもう一つの動機は、日本の文化に対する関心でした。私は日本に関するたくさんの情報を見たり、読んだりしていました。西洋人の観点からのアジアのイメージは、よく言えば“Exotic”ですが、恐らく理解しがたいことを言うのに最も簡単だからですが、しばしば“Strange”と捉えていました。日本でのポスドクの経験は、まさにアジアに対する真実と間違った情報を見分けるいい機会だと思います。来日して2年が経ち、私は日本をより分かってきたと思います。
趣味について
 私の趣味の一つはフランスで始めた合気道です。私が所沢で初めて見つけた道場が小林道場だった事はとてもラッキーでした。小林道場には世界中からの内弟子を歓迎する伝統があり、後にその道場で他の外国人と知り合いになりました。彼らは私がその道場で合気道を習得するために、フランスから来日したのだと思ったそうです。
 私は後一年ここに滞在できる事になっています。残された時間で、より多くの研究課題について取り組むだけでなく、日本の方々からも学びたいと思っています。
Nothing is strange, things are only different.