〔福祉用具紹介シリーズ4〕
ロービジョン(弱視)向けの
便利な調理用具
指導部生活訓練課


 視覚障害者の多くは、何らかの視力を有する「弱視」の方々です。「弱視」と一言で言っても、その見 え方は手の動きや人の影がかろうじて見えるレベルから、保有する視力をかなり活用できる方まで様々で す。また、まぶしさがあったり、視野が狭かったりということも、その原疾患によって様々です。
 ある程度の視力のある方々にとって、もう1つの問題は、色のコントラストがはっきりしているかどう かということがあります。例えば、歩道に敷設されている「点字ブロック」も、歩道の路面と同じ色であ ると、識別することができません。
 今回紹介する用具は、今まで紹介してきたようなIT機器でもなく、特別な機能を備えたものではありま せんが、色のコントラストをはっきりさせることで、弱視の型に使いやすい食器や調理用具です。


1.まな板
 写真にあるように、表と裏が白と黒になっています。例えば、白っぽい野菜などを切る際には、黒い面 を利用すると野菜の色とまな板の色とのコントラストがはっきりすることで、調理が楽になります。


2.包丁
 刃の部分が白くなっており、黒いまな板の上で使用する際には刃の位置が見えやすくなります。一般的に 、視覚障害者が調理をする際、包丁等の刃物を無造作においておくと、手を切ったり安全性に問題があるた め、通常はまな板の奥に刃を向こう側にしておくよう指導しますが、黒いまな板の上と白い刃の包丁を利用 することで、包丁の位置が見やすくなり、安全性も向上します。


3.茶碗
 白米を食べる際、内側が白い茶碗であると、米粒が残っているのかいないのかがはっきり見えません。こ の茶碗のように黒い色のものであると、ご飯粒がはっきりと見え、食べ残しなどなくきれいに食べることができます。


4.へら
 ご飯茶碗同様、ご飯をよそう際に黒い色のへらを使うことで、コントラストがはっきりして、へらに付い たご飯があるかどうかなどがわかりやすくなります。


5.ランチョンマット
 白っぽい食器を黒っぽい色のマットに乗せることで、食器の位置がわかりやすくなります。
 これらのものは、特に視覚障害者用として販売しているものもありますが、食器などは市販のものでも、 これらのことを念頭に置いて、コントラストが明確になるものを購入するなど、ちょっとしたことで弱視の 方々の調理や食事が楽しくなったり、安全性が向上したりします。


 
  (写真)まな板と包丁
 

 
  (写真)へら
 

 
  (写真)茶碗とランチョンマット