〔病院情報〕
障害のある方々にやさしい薬局
病院医事管理課



障害のある方々と「かかりつけ薬局」を結ぶ「院外処方箋ファックスサービス」

 病院玄関ホール医事管理課カウンター横に「院外処方箋ファックスサービス」があるのをご存知でしょうか。 これは、所沢薬剤師会のご好意により、院外薬局を利用される患者さまの利便性向上のために設置されたもので す。当院の他では、防衛医大と国立病院機構西埼玉病院で同様のサービスを提供しているとのことです。このサ ービスには、院外処方箋の発行を促進し、患者さまお一人お一人に「かかりつけ薬局」を持っていただくことで 、厚生労働省の提唱する「医薬分業」を推進するという意味もあります。
 具体的には、平日9時から13時30分まで、所沢薬剤師会の事務の方が「院外処方箋案内係」として常駐し、外 来診察時に発行された院外処方箋を、最寄りの調剤薬局(かかりつけ薬局)に無料でファックス送信するサービ スを行っており、1日30〜50件(平均40件)程の利用があります。また、院外薬局の利用や「かかりつけ薬局」 を作る相談にも対応しています。
 「かかりつけ薬局」利用のメリットとして、@患者さま個々の薬歴(薬の服用記録)を作成し、薬の飲み合 わせや重複をチェックして調剤するので安心。A大衆薬との飲み合わせも確認できる。B薬についてのわかり やすい説明を受けることができる。また、薬効・注意事項等の薬剤情報提供のサービスを受けることができる 。―などが挙げられます。
 これにプラスして「ファックス送信サービス」を利用すると、「かかりつけ薬局」は、ファックスの情報と 患者さまの薬歴から調剤を開始しますので、薬局に処方箋を持参するよりも、原則として早くお薬が用意され ています。“お薬を取りに行ったらもうできている”と言う訳です。これは、障害を持つ患者さまだけでなく 、多くの方々に便利でやさしいサービスと言えるのではないでしょうか。

障害のある方々への更なるサービスをめざして

 現在、所沢市薬剤師会は、会員数148人保険薬局数85軒です。今年2月、当センターからの呼びかけで、 “障害のある方々にどのようなサービスが提供できるか?”をテーマに、会員薬局へのアンケート調査を 実施いたしました。
 その結果を見てみると、薬袋の点字による表示や手話での指示は、難しいという回答でしたが、“点字 不可の薬局は口頭にて服薬方法を十分説明することは可能”81%、“手話不可の薬局は筆談にて服薬方法 を十分説明することは可能”94%であり、障害のある方々に対する調剤薬局のサービス向上への意欲をう かがう事ができます。
 この結果を受けて、「院外処方箋ファックスサービス」のカウンターには、所沢薬剤師会の「障害別の保険調 剤薬局対応表」が準備されています。薬局名・住所・受付時間・連絡先と共に、障害のある方への対応可能項目 がまとめられています。残念ながら、今回のアンケート調査では、車いす対応の駐車場がある薬局は5カ所のみ でしたが、ぜひ、「障害別の保険調剤薬局対応表」を患者さまや利用者の方々にお知らせいただくなど、ご活用 いただきたいと思います。
 個々の調剤薬局にとって、施設・設備の改善は容易にできるものではありませんが、新しく開店する薬局を中 心に、車椅子やベビーカー、お年寄りの方でも安全に利用できるよう、歩道からのスロープ、入口、トイレの手 すり等、バリアフリー化も進んでいると言います。
 院外処方箋案内係にお話をうかがったところ、「“こんなサービスがあったらいいな”というご要望を、ぜひ 利用者の方からもお寄せください。」とのことでした。サービスを利用する側と提供する側とのコミュ ニケーションや相互作用から、新しい提案や試みが生まれるかもしれません。
 これからも、障害のある方、赤ちゃんやお年寄り、そして、人にやさしい薬局が街に拡がることを期待したい と思います。


障害別の保険調剤薬局対応表(抜粋)

対象:85薬局(H18.2現在)
障害別の対応 対応可能薬局数
@視覚障害者に識別しやすいよう包装に切り口をつける等、薬を区別できるよう配慮・工夫する。また、表通りまでの手引きの対応が可能。
49
A聴覚障害者への筆談による服用方法説明やFAXでの質問に対応が可能。
79
B店内が車いすで利用しやすい環境。
53
C車椅子対応の駐車スペースがある。      車いす用あり
普通自動車数台分あり
普通自動車用
5
4
18