〔野鳥シリーズ51〕
リハセンターに飛来する野鳥を友に
日本福祉教育専門学校 見原 捷三
元理療教育部長


レンカク
 前号でご紹介したとおり、国リハニュースに野鳥の記事を書くことになったのは、珍鳥「タカサゴモズ」を書いたのが 、そもそもの始まりでした。
 そこで、今回の51号は、50回の連載を終えて一つの区切りがつき、自分なりにけじめを付け本号は、いわば新しい始ま りですから、珍鳥「レンカク」からスタートしたいと思い掲載いたしました。
 このレンカクについては、本年8月の上旬に鳥仲間からメールが来て、茨城県霞ヶ浦の浮島にレンカクが飛来している との情報を貰いました。今まで、野鳥図鑑でしか見たことがない私は、取るものも取り敢えず8月7日の早朝、車を飛ば して現地に出向きました。
 それにしても、真夏のバードウォッチングは、まさに体力、気力、忍耐が必要です。30度を越す炎天下で、池の蓮の中 から姿を待つのを3時間、ようやく訪れたシャッターチャンスに夢中でシャッターを切りました。この間、熱中症を心配 して水分補充しながら、ひたすら待って撮影した数枚の中の1枚です。
 さて、このレンカクは、全長約55cmで夏羽は背・下面が黒色、翼・頭が白色、後頸は黄色をしており、大変長い黒色の 尾を持っています。写真のとおり蓮や睡蓮などの水草の上を、長い足指と爪を広げて餌を探して歩きます。本来は、イン ド・東南アジア・中国・台湾などに分布し、日本には迷鳥として、まさに西日本に渡来したことが過去に、10数例ある程 度の珍しい鳥です。
 この鳥の特徴は、繁殖期になると一妻多夫の風習を持って、一定の縄張り内で雌と交尾した水草で作った浮き巣に、3 〜4個の卵を産むと雄の下を去り、再び別の雄と交尾します。雌は、このような行動を、その年の繁殖期の間に、7回〜 10回繰り返す野鳥の世界でも変わった生態系を持っています。
 したがって、当然のことながら雌が去ってしまった後は、雄が抱卵し孵化した後の飼育も雄のみで行ないます。同じ様 な生態系を持った鳥は、この他にタマシギがいます。
 私は、これ等の鳥を見ていると雄が気の毒でなりませんが、皆様のご感想は如何でしょうか。


(写真)レンカク