〔福祉用具紹介シリーズ5〕
ポータブルゲーム機も便利な用具に
指導部生活訓練課



 最近、テレビコマーシャルで皆さんもよく目にすると思いますが、某玩具メーカーから発売されている携帯ゲーム 機で利用できる「DSお料理ナビ」というソフトがあります。当然この機器やソフトは障害者向けに開発されたもので はありませんが、@情報が音声化される、A画面や操作ボタンを使用しなくても、音声で操作が可能であるという機 能があり、視覚障害者や肢体不自由者にとって、機器を活用しやすい要素を持っています。このソフトは、200品以 上の料理レシピがあり、調理の手順を追って、音声と画像で調理方法をナビゲートしてくれるものです。ソフトを 起動すると、季節に合った食材のメニューなどを音声で案内してくれます。メニューは、主食や汁物、お菓子など の種類別や何人分を作るか、カロリー、食材、アレルギーなどによって摂取できない食材などの様々な条件から選 ぶことができます。メニューを決めてナビゲーションを始めると、調理手順に沿って、必要な調理器具、材料、調 理方法を音声で案内してくれます。例えば「ハンバーグを作る」とすると、「まず、タマネギをきざみます。まな 板と包丁を用意して下さい」と音声ガイドが流れます。次の画面に進みたいときは、ゲーム機に向かって「OK」と 言えば自動的に次の案内に進みます。
 「タマネギの皮をむいて下さい」と案内が出ますので、ここで「詳しく」と音声入力するとタマネギのむき方の ガイドが音声で流れてきます。もう一度前の画面情報を聞きたいときには、「戻る」と音声入力することで、一つ ずつ前の画面に戻っていくことができます。このように必要な調理器具、食材、調理方法などが音声によってガイ ダンスされていくわけです。
 ただ、冒頭にも申し上げましたとおり、障害者用に開発された機器やソフトではありませんので、メニュー選択 までの操作は音声化されていません。よって、視覚障害者が使用する場合、補助が必要となります。しかし、家族 がいる方などの場合、一定の設定をしておいてもらえば、後は一人で調理を行うことができますし、肢体不自由者 の場合、本などのレシピをめくったりせずに調理ができます。また、カレンダー機能で、いつ、どのようなメニュ ーを作ったかの記録も残りますので、高次脳機能障害を有する主婦等の方にも、便利な機器ではないでしょうか。
 このように、前回ご紹介した、コントラストのはっきりする器や調理器具と同様に、市販の機器の中にも、使い 方によっては障害者の日常生活の中で便利に活用できるものもあるわけです。それぞれの障害特性を考慮しつつ、 身の回りにある機器等に、ちょっとした工夫をすることでも、便利に使えるものがあるのではないでしょうか。