〔ワンポイントマッサージシリーズ9〕
東洋の経験と知恵を活かして健やかな毎日を
理療教育部主任教官
柳澤 春樹


9.「こむら返り」
 「こむら返り」とは「足がつる」状態のことで多くはふくらはぎが痙攣するものです。ひどくなると下腿の前面 や足の裏、ふともも、腕などまでつってしまい、大変痛くてつらいものです。暑い最中の運動、起立時に突然発生 したり、冷えたり、寝ている最中に発生して苦しんだりすることもあります。原因は、はっきりとはしていません が、体質、疲労、電解質バランスが悪化して起こるといわれていますが、服用している薬が関係している場合もあ ります。頻度が多く、日常生活に支障をきたすような場合には、精密検査をして内蔵に問題がないかどうかをはっ きりさせる必要があります。筋肉の疲労や冷えは自律神経の異常緊張を引き起こし、局所的な貧血状態となり、痙 攣や痛みを起こします。
 こむら返りになったら落ち着いてマッサージをしたり、ストレッチングを行ないますが、強い痛みのためにあわ ててしまい、かえってひどくしてしまい脂汗をかいた方も多いのではないでしょうか。
 今回はこむら返りの治療を紹介します。



1.片足を投げ出して、反対側の膝を少し曲げるように座り、親指の腹で外側からゆっくりと指圧します。1、2、 3と息を吐きながら押し、4、5、6で息を吸いながら力を抜きます。5・6回くりかえしたら反対側にも行ないま す。
(委中「いちゅう」)(図1)

(図1)委中「いちゅう」
(図1)


2.下腿後面のふくらはぎの真ん中にある大事なポイントのひとつです。ここを体重を前に移しながら親指でゆっ くりと指圧してゆきます。1、2、3と息を吐きながら押し、4、5、6、で息を吸いながら力を抜きます。5 ・6回行なったら反対側にも同様に行ないます。
(承山「しょうざん」)(図2)

(図2)承山「しょうざん」
(図2)


3.あぐらをかくように座り、内踝と膝の横じわの先端との半分のところですねの骨(脛骨)の際にあるところを 親指の腹を広く当ててゆっくりと押しながらもんでみましょう。1、2、3、4、5ともむようにします。5・ 6回くりかえしたら反対側にも行ないます。痛みを我慢して強すぎる力を加えるのは逆効果になりますから注意 しましょう。
(漏谷「ろうこく」)(図3)

(図3)漏谷「ろうこく」
(図3)


4.有名な「足の三里」の指圧もよく用いられます。両手の親指を重ねて体重を前に移動しながらゆっくりと押して いきます。1、2、3と息を吐きながら押し下げ、4、5、6で息を吸いながら力を抜いてゆきます。5・6回くり かえしたら反対側にも行ないます。このツボは歩き過ぎて足が重く感じたり、胃腸の具合を整えたりするときにも 良いといわれています。
(足の三里「さんり」)(図4)

(図4)足の三里「さんり」
(図4)


 こむら返りは全身状態との関係が大きいものです。普段からの健康保持が何より大切です。食事、睡眠、運動前後 の準備運動と整理運動、充分な水分補充、冷えるときには入浴や足湯なども効果があるものです。痙攣発作を起こし て痛いときだけでなくとも、ここに紹介したようなものを習慣にしておき、快適な毎日を送ってください。