〔巻頭言〕
障害者自立支援法の施行に向けての取り組み
更生訓練所指導部長 福岡 伸夫



 「障害者自立支援法」が昨年11月に成立し、本年10月1日から本格施行(利用者負担については本年4月から)となり、当セン ター更生訓練所においても、新法に基づく新たな事業を開始しております。
 法案成立以降、施行までには大変短い準備期間ではありましたが、センター内外の皆様方の多大なお力添えをいただきながら、 無事、埼玉県知事から新体系における「指定障害者支援施設」としての指定を受けることができました。職員を初め関係各位の皆 様方に対しまして、この紙面をお借りして厚くお礼申し上げます。
 皆様も既にご存じのとおり、新法におきましては、障害者施策を身体、精神、知的の3障害を一元化するとともに、利用者のニ ーズに沿った施設支援を行うため、今まで30種類以上あった施設体系を、「療養介護」、「生活介護」、「自立訓練」、「就労移 行支援」、「就労継続支援」、「地域活動支援センター」の6種類の日中活動に再編することにより、従来の24時間を通じて行わ れていた施設運営が、「訓練などの昼間実施サービスの提供」と「それ以外の夜間や休日などにおける生活の場の提供」とに分け られ、より支援目的が明確化されました。特に、就労支援については、これまで以上に強化され、加えて支給決定の透明化や明確 化、安定的なサービス提供を行うための財源確保を図り、障害者が地域で安心して暮らせる社会の構築を目指しております。
 このような新法の目的に沿って、当センター更生訓練所においても、昼間実施サービスとしての「就労移行支援事業(これまで の一般リハ課程・理療教育課程)」、「自立訓練(視覚障害者に対する生活訓練に加え、高次脳機能障害者を主な対象とする生活 訓練)」に加えて、夜間の居住サービスとしての「施設入所支援(宿舎のサービスの提供)」を行う「多機能型」の事業体系とな りました。
 支援内容につきましても、障害者一人ひとりのニーズに応じた、きめ細かい個別支援計画に基づくサービス提供を行うとともに 、これらのサービス提供に係る責任者として、所定の研修を受講した「サービス管理責任者」の配置を新たに行っております。
 隣接する「国立職業リハビリテーションセンター」については、新法では「就労移行支援に相当するサービス」を提供する施設 として明確に位置づけられ、更生訓練所では、夜間の居住の場としての宿舎サービスを必要とする利用者についてのみ、施設入所 支援のサービス提供を行うことになりました。
 また、これまでは国立施設として全額国費で運営されていた更生訓練所も、他の民間施設と同様に、市町村からの自立支援給付 費とその給付費の一部を利用者自身にも負担していただく方式に改まり、これまで以上に、利用者のニーズに沿った質の高いサー ビスの提供を行うことが求められております。
 更生訓練所としましては、現在、身体障害者と高次脳機能障害者を主な対象者として事業を開始しておりますが、今後において は、知的障害者及び精神障害者に対する支援や、入浴、食事等に介助が必要な方々に対する支援も可能となるよう支援内容を充実 して参りたいと考えておりますので、引き続き、当センター内の各専門分野の方々や地域の支援機関等の皆様方とも連携を図りつ つ、新法の目指している「障害種別の枠を超え、障害者一人ひとりのニーズに対応した個別の支援を行うことにより、障害者が地 域で安心して暮らして行くことができる、国民みんなで支え合う共生社会の構築」に向けて、当センターが一丸となってその中核 的な役割を担っていけるよう、努力して参りたいと考えております。