〔魚拓シリーズ9〕 |
カ マ ス |
前更生訓練所理療指導室長 川政 勲 |
カマスは、スズキ目カマス科の魚で、日本近海のカマスは二種いて、一種はヤマトカマス、もう一種はアカカマス
である。
体長は最大で50センチ、ヤマトカマスの寿命1年に比べてアカカマスは2年、時には3年魚も見える。体色は薄い
茶色、ヤマトカマスに比べて丈夫な鱗で剥がれにくく、地方ではアラハダとも呼ばれている。
6月から7月、体長30センチ以上に育った2年魚は夜明けのわずかの時間、浅い岩礁地帯の海藻に大群を作って産
卵をする。
カマス釣りの基本的な釣鉤は、歯が丈夫な相手に、糸を切られないためと、イワシに似ているように見えることか
ら、自転車のバルブゴムで釣鉤を覆ったものを使う。一つの仕掛けに釣鉤を8本付ける。釣鉤にはカマスの好む色の
糸を巻く。
伊東に転勤して釣りの名人と出会うことが出来た。重度障害者センターに珠算の講師、ボランティア協会の会長と
してお出で下さり、種々お世話下さっている方で、ご自分で船を持ち、毎朝伊東沖で釣りをなさっている方であった。
カマスの時期、名人に何度もお誘いいただき、手石島周りで、勤務時間前にカマス釣りに興じた。
カマスが回ってきたとき、如何に手返しを良くして沢山釣るかがポイントである。慣れない私は、グズグズしてタ
イミングを逃し、糸を絡ませたり、手元でバラしたりして名人の足下にも及ばない。何度も悔しい思いをした。
釣ったカマスは、朝出勤前に捌いて干しておくと、夕食時には丁度良い加減で、ビールが心地よくのどを過ぎてゆ
く。フライや天婦羅にしても美味い魚だ。