〔ワンポイントマッサージシリーズ11〕
〜 東洋の経験と知恵を活かして健やかな毎日を 〜
理療教育部主任教官
柳澤 春樹



11.「胃が重い、食欲がない(慢性胃炎)」
 前回は「胃アトニー症状」を軽快する方法を取り上げました。胃の疾患の多くは精神的な要因が関与していると言われています。 今回取り上げる慢性胃炎症状も精神的な要素を考えないわけにはいきません。ストレス社会と言われる現代人に胃の疾患が多いのも うなずけます。多くの人々は胃の辺りに不快な感じがあって食欲がなくても、「ストレスのせいだから仕方がない」と諦めていたり 、むやみに胃の薬を長期間飲み続けている場合があるようです。
 全身がだるくて仕方がない。微熱が続いている。みずおち(みぞおちとも)のあたりが痛む。体重が減ってきた。発赤が出るなど という症状がある場合は、ほうってはおけない病気が考えられますので、専門医の診察を受けなければなりません。
 なお「みずおち」を鳩尾と書きますが、これも経穴名で「キュウビ」と呼ばれています。
 いつか経穴名の由来についてもご紹介したいと思っていますが、なかなか興味深いものがあります。

 あん摩・マッサージ・指圧、はり、きゅうなどは心身のリラクゼーション効果の大きいものですから、以下に紹介する方法などもお試しください。



1.座った姿勢で行なえます。片方の足を膝の上に置き、片手はその足の背を支えて足底の中央よりやや前方にあるくぼみ(図1) を反対側の親指を直角に立てるようにして押しながら小さく揉んでみてください。1、2、3で息を吐きながら力を入れ、4、5 、6で息を吸いながら力を抜きます。5・6回くりかえしたら反対側にも行なってみましょう。
(涌泉「ゆうせん」)(図1)

(図1)涌泉「ゆうせん」
(図1)


2.椅子に座っても正座しても行なうことができます。みずおちと臍の中間にある重要な治療部位です。ココに両手の親指を除い た4本の指を重ねて置き、指圧しながら前かがみになり、力を抜きながらもとの姿勢に戻ります。1、2、3で息を吐きながら力 を入れ、4、5、6では息を吸いながら力を抜いてください。これを5・6回くりかえします。
(「ちゅうかん」)(図2)

(図2)「ちゅうかん」
(図2)


3.やはり座った姿勢で行なうことができます。第12胸椎棘突起の下の高さ(先ほどの(ちゅうかん)とおなじ高さで、背骨 から指4本分外側にある部位(図)に同側の親指を当て、肘を横に張りながら上半身を側方に倒しながら指圧します。息を吐きな がら1、2、3と指圧し体を曲げ、4、5、6で息を吸いながら力を抜き体をもとに戻します。反対側も同じ要領で行ないます。
(胃倉「いそう」)(図3)

(図3)胃倉「いそう」
(図3)


 よく、マッサージなどを自分で行なう場合はどれぐらいの力がいいのですか?と聞かれます。目的や部位などによって違いま すので、いちがいには言えませんが、普通には「あなたがいちばん気持よいと感じるくらいの力がいいんですよ。」とお答えし ています。決して強すぎる刺激がより効果的などということはありませんので、回数も含めてくれぐれもやり過ぎにはご注意く ださい。