〔魚拓シリーズ10〕 |
ア カ ハ タ |
前更生訓練所理療指導室長 川政 勲 |
アカハタは、ハタ科の魚で、南日本、インド・太平洋域に分布し、さんご礁域や沿岸浅所〜深所の岩礁域に生息する。
体の地色は赤く、濃赤色の横帯が5本あること、背鰭棘部の鰭幕先端は黒いことなどが特徴で、体長は40センチほどの小
さい魚である。
ハタの仲間は生きている魚以外は食べないものが多いが、アカハタは別格で何でも良く食べる。
大きな目が好奇心の塊のようで、潜水中のダイバーにも平気で近寄ってくる。
伊東重度障害者センター勤務時に、姉夫婦二組と3家族で、年末年始を過ごそうと妻良の民宿に出かけたことがあった
。
年越しを終え、すぐ上の義兄と二人で、民宿から手漕ぎの磯舟を借りて、港の近くの湾内で、初日の出を拝みながら、
釣りを行ったときに釣れた獲物の中にアカハタもいた。
思いがけず何匹もの魚が釣れ、宿に持ち帰り、朝食のおかずにして頂いたが、その美味しさは忘れがたかった。
その後、伊東で魚拓を習い、釣りも何度も挑戦したが、伊東時代にはアカハタは二度とは釣れなかった。
伊東の釣りの恩師は、私が函館に転勤した後も、珍しい魚や綺麗な魚を釣ったり貰ったりして(同船した釣り人が外道
の珍しい魚が不要と知ると、御自分が釣った本命をその方に交換を申し出、手に入れる)、冷凍便で送ってくださった。
このアカハタは送っていただいたもので自分で釣ったものではない。
妻良でのアカハタの美味しさが忘れられず、身は刺身にして食べてしまい、残った頭部を魚拓にしたものである。