〔更生訓練所情報〕
平成18年度理療教育課程第28回卒業式
更生訓練所理療教育部 教官 加藤 麦


 紅梅の花びらが散り始めた2月28日、理療教育課程第28回卒業式が当センター講堂にて開催されました。暖冬のため一度も雪が降らないまま2月が終わりを告げようとしておりましたが、そのおかげで好天に恵まれた暖かな陽気の中での卒業式となりました。

 来賓、在所生、職員の盛大な拍手に迎えられながら、卒業生26名(高等課程8名、専門課程18名)と修了生10名(高等課程3名、専門課程7名)が粛々と入場し、理療教育部長の開会の言葉で式典が始まりました。国家斉唱の後の卒業・修了証書授与では岩谷総長から一人ずつ証書を受け取りながら、3年間および5年間のセンターでの思いを巡らせていたことと思います。

 総長祝辞では、「善と正」について、現在の道徳倫理の上に成り立つ社会にあっては、正は善を上回らなければならないとのお話しがありました。また、障害から学んだ経験をみんなに伝えて共有し理解することは、正が社会に広がる1つの手段であることから、積極的に行って欲しいとの激励がありました。引き続き、来賓祝辞として厚生労働大臣、埼玉県知事、同窓会である東光会会長からそれぞれお祝いの言葉を頂き、全国からの祝電披露がありました。

 卒業生を送る言葉は高等課程4年生の宮島健二さんから、先輩達の日常の風景を宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の詩に例えられ、勉学に励み、級友と語らい、感情を共感しながら国家試験合格を目指してきた先輩達の後ろ姿を見つめてきた応援と期待の言葉が送られました。卒業生からの別れの言葉は専門課程3年生の深谷充代さんから、在所中に病に倒れ亡くなられたお父様をはじめとする家族の支え、患者さんから学ばせていただいた臨床実習、クラスメイトやルームメイトとの楽しい一時など、入所から卒業までの3年間の思い出と感謝の言葉が語られました。その後は、蛍の光斉唱、閉式の言葉で卒業式が滞りなく無事に終了しました。温かい拍手の中を自信に満ちあふれた笑顔とセンターを去ることの寂しさを伺わせる表情とが入り混じりながら退場していく姿が印象的でした。

 医療の世界だけではありませんが、卒業すること、国家試験に合格し免許を取得することがゴールではありません。当センターでの勉学はスタートラインに立つまでの準備期間であり、卒業式を迎えたことが医療の専門職としてのスタートを切ったことになります。深谷さんの結びの言葉として「過去の経験は未来を照らす灯である」と紹介されていました。当センターでの経験はこれからの人生において豆電球程度のものかもしれませんが、卒業後の様々な経験が徐々に太陽のような輝かしいものになることを期待しております。

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