〔更生訓練所情報〕
就労移行支援野外訓練を終えて
更生訓練所指導部指導課 生活支援員 篠原 慶 
生活支援員 川原 真吾


はじめに

 7月31日(火)就労移行支援の利用者を対象に、野外訓練(以下「デイキャンプ」という)を実施しました。参加者は利用者32名、職員17名の計49名で、利用者の障害は肢体、聴覚、視覚、高次脳機能障害など多岐にわたります。今年度は事前準備を重視し、利用者一人一人が主体的に参加できるよう、人数を半分に分け、7月31日(火)と9月7日(金)の2回の開催としました。

 今年度も昨年同様、埼玉県秩父市にある「吉田元気村」にて、デイキャンプ形式で行いました。


当日に向けて

 今年度のデイキャンプは1チーム6人ずつ、6つのチームに分け、当日の昼食づくりをテーマに8回のチーム会議を実施しました。

 チーム会議の目的は、チームメンバーが共通のテーマに沿って、企画、立案、検証、修正する中で昼食計画を立て、実行することにあります。これらは、就職し、チームワークの中で働いていくために必要な技能であり、就労移行支援の野外訓練では、職業訓練の一環として取り組んでいます。

 決められた予算の中で、限られた食材の中から昼食メニューを企画します。キャンプの定番「バーベキュー(焼き肉)」や「焼きそば」の他に、「お好み焼き」「パエリア」「サンドイッチ」などのメインメニュー。加えて「サラダ」や「フルーツポンチ」を添えるチームもあります。計算担当は電卓を片手に悪戦苦闘。「牛カルビ100g300円。8人分だから…。ツナ缶1缶100円…予算オーバーだからキュウリを1本減らして…。」チームメンバーの注文に足したり引いたりかけたり。メニューと食材が決まったら、必要な用具と障害状況を踏まえながら役割分担を考えます。このときにしっかり役割分担が出来ていると、当日手際よく進めることができるのです。

 最終の会議の日はプレゼンテーションを行いました。各チーム順番にこれまで話し合った内容をまとめ、みんなの前でアピールしてもらいます。プレゼンテーションの経験のない方々ばかりですが、しっかりと役割分担ができており、チームが協力して発表する姿を見ることができました。初めはお互いをほとんど知らないメンバーでしたが、チーム会議を重ねることでチームが一つにまとまったことを象徴しているかのようでした。


いよいよ吉田元気村へ

 デイキャンプ当日はみんなの願いが通じたのか天気は快晴。予定していた人数全員で参加することができました。朝食後、キャンプの準備を整えて次々とバスに乗り込みます。約2時間の道のり。出発して1時間ほどすると自然豊かな山々が見え始め、吉田元気村に到着です。

 現地に着いたら、開村式を終え、さっそく料理を開始します。チーム会議で話し合った役割分担に沿って、助け合いながら調理していきます。汗だくになりながら火をおこす人、初めて包丁を握り野菜を切る人、できあがった料理を綺麗に盛りつける人など、どの班も楽しそうに作っていました。約2時間半でどのチームも食事の用意から片付けまで終え、食後は思い思いにのんびりと大自然を満喫しました。


おわりに

 計8回のチーム会議では意見が出ず、話し合いが進まないこともありました。しかし、司会を務めることで意見をまとめる力を身につけたり、自分の意見と違う意見に耳を傾けるなど、企画立案することの難しさや面白さを体験することができたのではないでしょうか。みんなで協力して作った昼食は、例え想像していたものと違っていたとしても、きっと美味しかったことでしょう。

 来年度は参加したみなさんの意見を参考に、更に充実した内容にしていけるよう検討していきたいと思います。



(写真1)野外訓練の模様  (写真2)野外訓練の模様

(写真3)野外訓練の模様

  (写真4)全体写真
全体写真