〔更生訓練所情報〕
自立訓練(機能・生活)野外訓練について
更生訓練所指導部生活訓練課 高橋 文孝


 自立訓練(機能・生活)では、8月2日(木)秩父郡横瀬町にある「道の駅 果樹公園あしがくぼ」において野外訓練(そば打ち・うどん打ち・陶芸の手作り体験)を実施しました。集団での話し合いや手作り体験を通して利用者間の交流を深め、一日の活動を企画し実施することにより、日頃の訓練成果を発揮することを目的に、利用者18名、職員14名、学院実習生2名、計34名が参加しました。

 今回の実施場所である「道の駅 果樹公園あしがくぼ」は、秩父の山々に囲まれ、すぐ脇には横瀬川が流れているという自然環境豊かな場所にあり、また、道の駅と鉄道の駅(西武秩父線の芦ヶ久保駅)が隣接しているという全国的にも珍しい場所です。

 野外訓練前の話し合いが計6回実施され、利用者の実行委員長・副実行委員長が中心となり、スケジュール作成班・レクリエーション班のメンバー、役割、実施内容等が回数を重ねるごとに決まっていきました。

 自立訓練には機能訓練利用者と生活訓練利用者がいますが、訓練内容や食堂座席が異なり、あまり関わり合いがないため、野外訓練を機会に交流を深めたいとの意見が話し合いの中で出されました。そのため、機能訓練及び生活訓練利用者混合で4グループを作り、自由行動の際は、生活訓練利用者が機能訓練利用者を手引き歩行する等お互いがお互いの障害特性をカバーし合おうという結論に達しました。

 野外訓練当日、そば打ち・うどん打ち・陶芸に分かれ、手作り体験を実施しました。そば打ち・うどん打ちについては、粉から水回しし、こねて玉を作り、伸して切るという一連の動作を行なう方と玉から伸して切るという動作のみを行なう方に分かれて実施され、伸して切る動作は簡単そうに見えて体力も神経も使う作業であったため、「初めて体験したけど、こんなに大変だとは思わなかった。だけど癖になりそう。」という声が聞かれました。陶芸体験については、粘土をこねながら何を作ろうか最後まで悩んでいた方、一度形を作っても、納得せず崩してまた一からやり直すことを繰り返していた方、与えられたチャンスは一度のみというように集中して一回で作品を作る方等様々で、皿・カップ・どんぶり等が作り上げられました。作品が手元に届くまで約1ヶ月かかりますが、「焼き上がりが楽しみだ。作品は高く売れるかな。」という声が聞かれました。

 昼食は、そば打ち・うどん打ちで利用者が打ったものを体験コーナーの食堂で食しました。麺は太いものから細いものまで利用者同様個性あふれるものでしたが、味は抜群。「こしがあっておいしい。汗水たらして作ったものはやっぱりいいね。」という声が飛び交っていました。

 今回の野外訓練では、普段見せたことのないような利用者の真剣な表情及び満面の笑みを見ることができましたし、利用者が主体的に、そしてお互いに協力し合いながら企画・実施していた様子からこの行事の目的は充分果たせたのではないかと思われます。「今度の野外訓練はいつあるの?」、「楽しかった。個人的に来てもいいな。」という言葉に表れているように普段の訓練とはまた一味違った経験ができ、良い思い出となったのではないでしょうか。

 往路において、日高消防署吾野分署にてトイレを借りるという緊急事態(?)はありましたが、無事に野外訓練を終えることができました。最後に、野外訓練実施にあたりご協力ご支援いただきました他部署、消防署の皆様、手作り体験において事細かく丁寧にご指導いただきました道の駅果樹公園あしがくぼの皆様に感謝するとともに御礼申し上げます。



(写真1)そばの出来上がり

そばの出来上がり

(写真2)うどん打ち体験

うどん打ち体験

(写真3)陶芸体験

陶芸体験