〔巻頭言〕
明日に向かって
管理部長 福岡伸夫



 センター敷地内に咲く桜の季節が終わり、ハナミズキの季節になると、これから新しい年度が始まるという思いが強くなるのは私だけではないと思います。
 今年度は、平常業務に加えて数多くの課題が山積しております。その主なものの一つ目は、平成20年10月に向けての取組であります。障害者自立支援法の施行に伴って、これまで身体障害、知的障害、精神障害の障害種別に分かれていた障害福祉サービスが一元化され、国立身体障害者リハビリテーションセンターの機能として、身体障害中心から高次脳機能障害や発達障害などあらゆる障害を視野に入れた取組が求められております。当センターでは既に重度・重複障害者への取組みをはじめとして、平成13年度からは高次脳機能障害、平成19年度からは青年期の発達障害に対する取組みも行ってきており、身体障害中心からあらゆる障害を視野に入れたナショナルセンターとして運営を行うべく、組織の名称を「国立身体障害者リハビリテーションセンター」に変更することとしております。
 また、更生訓練所においては、平成18年10月から障害者自立支援法の指定障害者支援施設として埼玉県の指定を受け、新たなサービス体系のもとで事業展開を図っていることから、更生訓練所の組織をこれらの新サービス体系に沿って見直すとともに、より重度の障害をもつ方の受入に向けての体制整備を図ることとしております。
 さらには、新たな課題である発達障害の支援の充実に対応するため、昨年度から取り組んでいる就労支援に関するモデル事業を引き続き実施するとともに、新たに研究所に発達障害情報センターの設置、病院部門に発達障害に係わる外来部門を設けることとしております。
 二つ目は、国立身体障害者リハビリテーションセンターの機能の見直しであります。本年3月末に発表された総務省の「国の行政組織等の減量・効率化の推進について」の取組内容に、「国立更生援護機関の事務事業の効率化・合理化等、その機能の在り方について平成20年度中に検討する」ことが盛り込まれております。センター内では、昨年末にセンターのあり方に関して中間報告としてとりまとめを行い、①利用者主体のサービス提供、②時代の科学を動員した障害研究、③機能的制限軽減、能力開発の実践・研究・開発、④各部門の一体的・効率的運営の4本の柱を行動方針として掲げ、到達目標を①少子高齢社会に対応する「国立身体障害者リハビリテーションセンター」、②先進的リハビリテーション医療実践、政策福祉推進の中核的機関、③研究・開発、実践・検証、人材育成、関連情報発信の統合型機関、④社会生活を支える保健、医療、福祉、労働サービスモデルの確立と一体的提供、⑤戦略的運営体制による効率的な事業展開を到達目標に掲げております。今年度は、本省が中心となり実施される検討会の動向を見極めつつ、中間報告を更に肉付けして具体的な方針なり指針といったものを検討していくこととしております。
 三つ目は、来年度がセンター創立30周年を迎えることになることから、10周年や20周年の記念事業を参考にしながら、皇室をお招きしての記念式典、関連記念事業の実施に向け、関係機関との調整を含めてその準備を進めてまいりたいと思っています。
  その他、病院機能評価の再審査などの課題も抱えておりますが、まさに平成20年度は当センターに取りまして大きな転換期を迎えようとしている時期となっております。この大きな流れの中で対応していくためには、センター全体で考え、流れを導き出していくことが重要であり、関係各位の協力はもちろんのことセンター職員全体で乗り切っていかねばならない課題でありますので、よろしくご協力を賜りたいと思います。