〔野鳥シリーズ61〕
リハセンターに飛来する野鳥を友に
元更生訓練所理療教育部長  見原 捷三



ウミウ(海鵜)
 3月号でカワウを掲載しましたので、今回はウミウをご紹介します。
 はっきり言って、ウミウとカワウの区別は大変難しいのです。単純に河に居るからカワウ、反対に海に居るからウミウとばかりは言えません。何故かと言えば、カワウも波の静かな内湾にいることもあるからです。
 そこで、カワウとウミウの違いは、カワウと同じようにウミウも全身が黒色をしていますが、背と雨覆いは光沢のある緑黒色、嘴は灰褐色で基部と目の周囲は皮膚が裸出して黄色をしています。それから、カワウは木の枝に止まりますが、ウミウは岩場や崖に棲息地としており止まり木の枝には止まりません。
 日本では、北海道から九州までの沿岸の小島や沖合の島で繁殖し、カワウより個体数は多いようです。5月から6月の繁殖期になると集団で断崖の岩棚に、木の枝や枯れ草を集めて巣を作り、4〜5個の卵を産んで雌雄共同で雛を育てます。
 ウミウと言えば、愛知県の長良川や福岡県の筑後川の鵜飼に使われていますので、鵜飼を御覧になった方は、潜水し鮎を巧みに捕らえる姿をご記憶のことと思います。このように鵜飼の鵜は、ウミウしか使いません。これらの鵜は、指定された所以外での捕獲は禁止されています。以前、テレビで断崖の岩棚に小屋を作りおとりの鵜を使って、鳥もちで捕獲する様子が放映されたことがありましたので、御覧になった方もおられるのではないでしょうか。
 ウミウの繁殖地としては、新潟県の粟島、福島県の照島、山口県の壁島が有名な繁殖地ですが、中でも山口県の壁島の渡来地は国の天然記念物に指定されています。
 この写真は、昨年8月に北海道旅行した際、礼文島の岩棚で羽を休めているところを撮影したものです。
 ウの仲間は、このほかにチシマウガラスやヒメウがいますが、筆者はまだ観察したことがありませんので、ウの掲載は今回で終わります。


(写真)ウミウ