〔魚拓シリーズ18〕

「コノシロ」

前更生訓練所理療指導室長 川政 勲


 コノシロはニシン目ニシン科ドロクイ亜科という馴染みの薄い種の魚であるが、新潟県、仙台以南、朝鮮半島、台湾、南シナ海北部に分布している。河口域や内湾に生息している。
 コノシロの北限は松島湾で、外海の綺麗なところには余り棲まず、内海の少し濁った所が好きで、群遊して海面に漣を立てているのを見ることがある。
 東京湾でよくトリヤマと呼ぶカモメの大群が魚の群れに集まっていることがあるが、コハダのトリヤマが多い。コハダを追いかけているのはスズキである。
 コノシロの標準体長は25センチ。3年ほど生きる。ウルメイワシに近い魚で、小さいうちは細かい骨は気にならないが、大きくなると邪魔で口当たりが悪く、市場価格も大きくなるほど悪い魚である。
 料理は3枚におろし、一度塩を効かしてから甘酢につける。大きなものは姿焼きにすると美味しく食べられる。
 江戸前では10センチほどの当歳魚をコハダと呼び、お馴染みの寿司種となる。
 作品のコノシロは、日立沖でのメバル釣りの帰りに、魚センターで「魚拓用に」と買ってきたものである。
 背びれの最後が長く、鰓の後ろに黒点があるのが特徴である。

漁師来て長話する夜釣りかな  いさお



(写真)コノシロ



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