〔野鳥シリーズ65〕

リハセンターに飛来する野鳥を友に

見原捷三(元理療教育部長)

 


タンチョウ(丹頂)
 2009年の新年号ですから、今回は長寿でおめでたい鳥として、古くから親しまれてきたタンチョウを掲載します。
 このタンチョウは、日本人にとっては馴染み深い鳥で、現在の千円札が発行されるまでは、旧札の裏側にタンチョウが描かれていたことを、ご存知のことと思います。
 タンチョウの写真は、一般的には雪原に舞う姿が多いのですが、この写真は一昨年の8月、北海道一周ドライブをした際に、繁殖期に番になって生息しているところを1、500ミリの超望遠レンズで撮ったものです。雪原のタンチョウは、厳冬期に釧路湿原の給餌場に行けば、間近で観察できますが、繁殖期に番になっている姿は、なかなか見ることができませんので、我ながら貴重な写真が撮れたと満足しています。
 さて、このタンチョウは全長約140cmで、国内の鳥類の中では大形の鳥です。
 全体が白色で喉から頚部にかけてと、翼の内側の風切り羽の頭部が黒色、頭頂は赤く裸出しています。生息地は、中国東北部や北海道の釧路湿原です。食性は、水草・昆虫・小魚等を食べる雑食性で、日本では、北国の厳しい生活環境に適応して生息しています。
 繁殖期になると広い湿原に分散し、葦を積み上げた巣に、茶褐色をした2個の卵を産み抱卵期間は、約1ヶ月で孵り雌雄で雛を育てます。
 アイヌの人達は、タンチョウを「湿原の神」と畏敬の念を持って見守ってきましたが、江戸から大正時代にかけて乱獲が横行し、ことに大正時代には、絶滅寸前まで追い込まれました。しかし、1,952年に天然記念物に指定されたのを契機に、保護活動が行なわれた結果、その甲斐あって現在は、個体数も1千羽を越えるまでになりました。
 でも、冬場には人工給餌が不可欠で、まだまだ絶滅の危機から脱出したとは言えないのが現状です。
 皆様方が、北海道旅行の折に、釧路の「阿寒国際ツルセンター」にお越しになったら、四季折々、間近で観察出来ると思います。

 

(写真)タンチョウ




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