〔学院情報〕
平成20年度学院卒業研究発表会の開催について
学院事務室



 当学院では、卒業年次にあたる学生が、学院での授業や実習などから学んだ内容を基礎とし、おのおの自分が興味をもてるテーマについて卒業研究を行っています。卒業研究発表会は、この卒業研究の各自の成果を発表する場であって、卒業年次の学生だけでなく、在校生やセンター内外の講師にも出席をお願いし、各学科ごとに、毎年、開催しています。
 発表会の中では、発表者が緊張した面持ちで自分の発表を終える毎に質疑応答が行われ、それぞれのテーマについて、参加者全体を巻き込む活発な議論が展開されていました。時には教官からの厳しい質問に対し、学生が答えに窮する場面もありましたが、そのような厳しさも、学生のことを思えばこそのものであり、発表者にとって、やがて貴重な経験として思い起こされる日が来るのではないかと思われます。
 発表者等が、この卒業研究発表会にたどり着くまでには、大変な努力と苦労があったようです。その姿を見守ってこられた各学科の担当教官から、所感あるいは裏話などをいただきましたので、ここに紹介いたします。


【言語聴覚学科】
 言語聴覚学科の卒業研究・臨床レポート発表会は、二年生28名、一年生30名及び専任教官4名が参加して行われました。一年生は二年生の発表がスムーズに行われるよう映写・照明などの運営を担当し、また質疑にも積極的に参加していました。二年生がどれだけ心血を注いでいたかを目の当たりにし、自分達もそれに答えなければという思いからでしょう。事実9月から臨床実習のなかで就職活動・国家試験勉強も行いながら毎日夜遅くまで論文執筆に悪戦苦闘していました。実際に臨床的活動からテーマを得、論理を組み立て、文章化していく作業は、学生にとって予想外の困難とエネルギーを必要としたと思われます。明らかに、頬がこけ、目のくぼんだ、ゾンビ達が徘徊していた時もありました。しかし、就職を決め、国試も乗り越え、発表の日が近づくにつれ晴れ晴れとし、自信が顔に満ち溢れてきました。そして発表会での二年生の姿に、一年生も教官もただただ感激していました。この経験を言語聴覚士として立つ礎石として役立ててもらいたいと思います。(実施日2月25日)


【義肢装具学科】
 最終学年となる3年次に行っています。当学科では各学生が研究テーマを決定し、担当教官の指導のもと研究を進めていきます。テーマの多くは学生が実習授業や臨床実習の中で疑問に思ったことがきっかけとなっています。具体的には義肢装具を製作していく上での技術的な問題点や、実際の義肢装具の装着者から話を聞いた臨床的な問題点などについて取り組んでいます。今年度の例ではモータで駆動する義足膝継手に関する研究や細菌に着目した義足ソケットの衛生面に関する研究など、大学の研究室で培ってきた知識を義肢装具の分野に活かした学生もいます。テーマは異なりますが、学生には卒業研究を通じて創造力、調査方法、文章力、発表技法といった能力を身に付けて、高い資質をもった義肢装具士として活躍して欲しいと思っています。(実施日 1月13日)


【視覚障害学科】
 視覚障害学科では、卒業研究が必須科目となっています。研究を行う目的は、卒業後現場で出会う様々な問題を科学的に分析し、科学的根拠に基づいて解決方法を提示できる専門職になるためのトレーニングを行うことです。発表会には、近時は、視覚障害、ロービジョン研究分野で造詣が深い東京女子大学の小田浩一教授をコメンテーターとして招き、各発表に対して、毎回、丁寧なコメントをいただいています。今年は2月21日(土曜日)の13時から17時に開催し、センター内外の先生方にも出席をいただき、質問、コメントが多数出されました。発表されたテーマ内容は、電気ポットの操作方法や「ふくらむマジック」を活用して触覚的に弁別しやすい文字を作るなど、日常生活上の工夫に関する研究が2題。点字を打つ点筆の形状、視覚障害者が歩くための白杖の長さ、ロービジョン者が夜間歩行で利用するライトなどの用具の効果に関する研究が3題、視覚障害者、盲ろう者を手引きする際の課題に関する研究が2題、それから、視覚障害者が事務的職種で使用しているスキルと支援機器に関する研究が1題でした。


【手話通訳学科】
 今年度の手話通訳学科の卒業研究発表会は、2月23日(月曜日)に学院講堂に200名を超える参加者を集めて行われました。当学科の卒業研究発表会は、語学教育における「プロジェクトワーク」の一環として実施するもので、目標言語である手話を用いてインタビューや資料収集を行い、手話で研究成果を発表します。今回は12名の卒業生による10件の研究発表があり、日ごろ非常勤講師としてお世話になっている先生方や、ゲスト講師として来ていただいた手話話者の方々をはじめ、外部からのたくさんの参加者が見守る中、堂々とした発表を行いました。1年生も、緊張で張り詰めた2年生を盛りたてて、受付、誘導、照明、撮影、タイムキーパーなど縁の下の仕事を確実にこなしました。来年に向けて気持ちを新たにしたことでしょう。そして、卒業生にとっては、卒業研究発表会は2年間の学生生活の集大成であり、この一大イベントを成功させた達成感は大きな自信となったに違いありません。


【リハビリテーション体育学科】
 今年度は、従来の「卒業研究発表会」に加え、「学会発表(日本障害者スポーツ学会)」という大きな目標に向けて取り組みました。卒業研究は、授業や指導実習、就職活動などと時期が重なり、決して集中できる環境ではありませんでした。しかし、研究した成果を人前で発表するということは、自らの研究結果を、多数の第三者に批評してもらうという、大変、貴重な経験になるものであるため、学生は、時間をかけて卒業研究に取り組んでいたと感じます。
研究は、自分が専門とする領域の実践的な中で生じた疑問を解決するところにその成り立ちがあります。今後、学生には、絶えず“どうして“という好奇心をもち、努力と挑戦の中から、実践的な研究を発展させてくれることを願っています。 (実施日2月9日)


 

(写真)視覚障害学科における卒業研究発表会

(写真 視覚障害学科における卒業研究発表会)

 

 

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