〔学院情報〕
平成21年度学院入学式
学院事務室


 3月下旬から咲き始めた桜の花が、まるで散るのをまっていてくれたように咲きそろった4月9日(木曜日)の10時から、当センター学院講堂において、新入生60名を迎え、平成21年度入学式を開催しました。

(写真)平成21年度学院入学式

  式典では、開会の宣言に続き、中島学院長から式辞がありました。式辞の中で学院長は「すでに入学試験の面接を通して新入生全員と会っているが、皆さんのようにしたいこと・なりたいものがあるということは非常に重要なことなので大事にしてほしい」ということや「自己の未来像を抱き続けることと、当学院で受ける教育があいまって、自己実現へと結びつくでしょう」と述べられました。
 また、「伝統ある学院の卒業生の中から、医療・研究・教育の各分野をリードする者がたくさん育っている。好きなことを職業に選び、生計をたて、社会の役に立つというのは幸福な人生だと思うので、諸先輩達に続くよう励んでください」と励まされました。
 続いて、岩谷総長より祝辞が述べられました。祝辞の中ではまず新入生の皆さん及びご家族に対してお祝いの言葉を述べられた後、つぎのようなお話をされました。まず、「我が国は少子高齢化、格差社会に直面し、加えて100年に一度という非常に厳しい不景気状態にあり、将来の見通しが立たない状況である。医療・福祉をめぐっても、医療崩壊・リハビリ難民などといわれるように制度疲労に直面している。このような厳しい環境に身を投じる皆さんに2、3お話します。」と始められ、続いて「リハビリテーションとは」や「リハビリテーション専門職とは」、「病気、病い、病者について」といった内容で話されました。そして、「学院において病気、障害について、医学を基盤とした支援技術を学ぶことになるが、しっかりと原理・原則を学び、知識と技術を習得し、将来、病いに患う人を支援してほしい」と話されました。
 引き続き、新入生紹介のあと、言語聴覚学科2年の高橋絵美さんが、歓迎のことばを述べました。(高橋さんの歓迎のことばは文末に全文掲載させていただきます。)
 その後、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長 木倉敬之様などからいただいた祝電を披露しました。
 最後に、当日参列された当センターの幹部職員の紹介を行った後、学院歌を斉唱して終了しました。

 以下、各学科の新入生の寸描などを紹介します。

 言語聴覚学科
 爽やかに晴れわたった空の下、満開の桜のもとに入学したST学科31期生は、平均年齢24.3歳とフレッシュな30名(女性27名、男性3名)が揃いました。出身は、心理、福祉、教育系が多いのですが、法学、哲学、史学、工学や看護学などの出身者も多く、例年よりも多岐にわたり、多様な刺激が受けられそうです。また、元気な人が多いのも特徴的で、二年生も加わって、例年にない明るい雰囲気が学科全体に漂っています。残念ながら平日は18時30分までの日が多く、加えて8月までの土曜日はすべて講義で埋まり、それも17時までがほとんどという、ハードスケジュールは変わりませんが、心身の健康にも十分気をつけ、励んで欲しいと願っています。

 義肢装具学科
 28期生として10名が新たなスタートを切りました。平均年齢22.8歳、男性、女性各5名の構成で、高校新卒者が5名、高専、大学新卒者が各1名、そして社会人経験者が3名の個性あふれる面々です。若い志を胸に秘めてきた者、一大決心をしてこれまでの経歴を大転換させてきた者など、さまざまですが、医療専門職としてのカリキュラムは決して易しいものではありません。
 それぞれの理想を忘れずに、この国リハ学院での3年間でお互いの個性を伸ばしあいながら切磋琢磨して人間的にも成長し、業界を牽引していく義肢装具士になることを期待しています。
入学前に抱いていた初心を忘れずに国リハという恵まれた環境の中で自己の可能性を伸ばし、各人が抱く理想の義肢装具士になってくれることを期待しています。

 視覚障害学科
 視覚障害学科20期生は、昨年よりも1名多い4名(男性1名、女性3名)が入学しました。職歴を有する者が3名おり、新卒者は1名となりました。4人それぞれ入学前の経歴や経験は様々なので、お互いにいろいろと刺激し合える関係を作っていってもらえればと思います。
 入学早々、2年生の演習の餌食となり、4月から毎日のようにアイマスクをつけて歩かされておりますが、これまでの様々な経験を糧に、厳しいカリキュラムを乗り切っていってくれるものと期待しております。

 手話通訳学科
 20期生として13名が手話通訳学科に入学しました。男性1名、女性12名、平均年齢は他学科より高めの32歳。出身地は地元所沢市を含む関東圏が9名、他は愛知県・愛媛県・沖縄県となっています。年齢幅や各人のバックグラウンドは広く、取得している資格や経歴も福祉・医療・教員等の対人労働系からネイチャー派やアクターまでと多種多様です。この多様性はこれから異文化に取り組む際の力になるでしょう。
 入学式の翌日から、さっそく手話だけで進められる授業が始まっています。まずしなければならないのは、これまでがっしりと身につけてしまった聴者の固定観念を取り払うこと。自己を確認しながら日々新しいことを学ぶ2年間となります。

 リハビリテーション体育学科
 リハビリテーション体育学科は19期3名(男性2名、女性1名)を迎えました。昨年とは異なり、東北〜関東の出身者で構成されています。「体育系大学卒業で22歳のとてもフレッシュな3人兄弟」といいたいところですが、教室ではお爺ちゃんと孫達のような、暖かく落ち着いた雰囲気に包まれています。
 1週間に渡る現場の見学も終わり、いよいよ「リハ体育」の領域へ突入です。既にクラブ活動などへ積極的に参加しているようですが、多くのことを吸収しながら充実した学院生活を過ごして欲しいと思います。


歓迎のことば


 花の便りが、この街のあらゆる場所で聞かれる季節となりました。新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。本日皆さんが本学院にご入学されたことを在校生一同大変うれしく思います。
 今、皆さんの心にはどのような思いがあるでしょうか。これから始まる新しい生活への期待や不安、そして、夢への一歩を踏み出し、大きな希望であふれているのではないでしょうか。
 本学院は、言語聴覚学科、義肢装具学科、視覚障害学科、手話通訳学科、リハビリテーション体育学科、の5つの科があり、それぞれの分野における専門職のための多彩なカリキュラムが組まれています。勉学に励んでいると1年がすぎるのは本当にあっという間です。皆さんには1日1日を大事に過ごしてもらいたいと思います。
 センター内には学院のほかに、職業訓練や生活訓練を行う更生訓練所や病院、研究所などがあり、実習でお世話になる機会があります。実習を通じて、講義で学んだ知識や理論を実際に体験し、より深く理解することができます。そして、実際に障害のある方と接することで自分の対応の仕方や考え方など、普段の講義では得ることができない貴重な経験や今まで知らなかった自分を見つける機会にもなるはずです。
 また、普段の講義以外にも、他学科の人たちと交流がもてるスポーツ大会や交流会、そしてセンターを利用されている方たちと協力して行う体育祭や並木祭といった行事があります。こういった機会を大いに利用して、より多くの人たちと交流をもつことができます。
 これから始まる学びの日々は、楽しく充実していると同時に、つらく苦しいこともあるかもしれません。そんな時は、今心にある気持ちを思い出し、学べる喜びに目を向けてみてください。そして、くじけそうになったときは、今隣に座っている未来の仲間や、私たち上級生にも相談をしてみてください。生まれた場所やこれまで歩んできた道は異なりますが、同じ志しをもつ仲間として、力になることができると思います。学院生活を通じて、臆することなくさまざまな人と交流し、将来ともに仕事をする仲間をたくさん見つけてください。
 最後になりますが、私たち上級生も気持ちを新たにし、また、新入生の皆さんは、今日この瞬間にもっている希望や情熱を忘れることなく、ここで生まれる出逢いの1つ1つを大切にして、これから共に頑張っていきましょう。
 以上、皆さんのご入学を心からお祝いし、歓迎のことばとさせていただきます。


平成21年4月9日
言語聴覚学科2年 高橋絵美