〔国際協力情報〕
中国四川省大地震の復興に関する協力
−四川大学華西病院を訪問して−
病院長 赤居正美


 去る平成21年3月20日〜3月25日にかけて、日中医学協会の依頼により中国の四川大学華西病院を訪問する機会を得ました。同協会を介して、日本リハビリテーション医学会に対し中国側からの問い合わせがあり、「リハビリテーション関連人材養成・教育、災害時医療の基礎」についての訪問調査・指導の依頼があったものです。
 年度末の忙しい時期ではありましたが、関係者のご高配を頂き6日間の日程を組んで、北京経由で四川省首都の成都を訪問することになりました。直接の震源地近くではありませんが、綿陽市、都江堰市を訪問するとそこかしこに地震の爪跡を見ることが出来ました。
 先方では中国四川大学華西病院リハビリテーション科何成奇主任(教授)、丁明甫副主任以下のスタッフと今後の協力体制についての話し合いを行いました。その他に国家重点研究拠点としての研究設備を運用する魏于全大学副学長、華西病院李為民副院長ら中国側幹部との懇談を行っています。
 私自身の講演として、3月24日(火曜日)午後にPresent status of Rehabilitation Medicine in Japan; Human Resource DevelopmentおよびMedicine in Large-scale Disaster; Japanese Experienceを行いました。
 四川大学華西病院は1892年設立の長い歴史を持ち、現在では病床数4600に達する巨大な規模でありました。遠隔教育のための各種設備も充実しており、地域の中核となる大病院でした。外来患者数は一日1万人に達し、外来受付けにはエスカレータもあって、あたかもラッシュアワー時の鉄道駅を見るが如くでした。地震による被災者のリハビリテーションがテーマでしたが、現在、四川省には大地震の後、少なくとも三つのリハビリテーションセンターを建設する計画があるとのことです。もともとリハビリテーション関連の人材養成に課題を抱える実情で、設備だけが先行しても困難なことが予想されるのではとも思いますが、お国柄なのかもしれません。
  ① 中国人民解放軍と中国残疾人協会(障害者連合会)が設立する「八一康復中心」
  →名称からして軍関連ですが、人民解放軍が出資し、完成予定は2010年8月とのことです。インターネットの記事では、この「八一リハビリテーションセンター」は中国残疾人連合会の主席、鄧朴方氏が昨年10年18日、北京にてプロジェクトに調印し、中央軍事委員会が3億元を提供したうえ500床の病院を建設するとのことでした。障害者連合会の関連から北京の中国リハビリテーション研究センターが全面的に協力しています。
  ② 香港政府と四川省政府が建設する「省人民医院康復中心」
  →こちらは香港政府が5年間出資し、必要な資材・人材を派遣するとのことです。
  ③ 四川大学華西医院が設立する「康復医学基地」
  →華西医院が自己出資の予定でしたが、衛生部の協力もあり、リハビリテーション病院としての設立を考えている由。今回の日中医学協会を通じての打診もこれに関連していますが、医師対象か療法士対象かの問題はあるものの、プロジェクトの内容としては教育中心で行きたいとのことでした。その後のやりとりで、これがJICAプロジェクトに類似する療法士対象となる可能性も残されています。
 私自身にとっては3回目となる成都訪問でしたが、連日の四川料理(辛いので有名です)も何とかしのぐことができました。滞在した錦江賓館ホテルは、立派なホテルでしたが、当初四川大学側が提案した天使賓館も国際会議が可能な大学附属の宿泊施設でした。大学が経営するホテルがあるというのもいかにも中国と言う感じです。