〔学院情報〕
養成課程紹介①
 


 学院の養成課程は、言語聴覚学科、義肢装具学科、視覚障害学科、手話通訳学科、リハビリテーション体育学科の5学科によって構成され、障害のある方々のリハビリテーションの分野において、先駆的・指導的役割を担い得る専門職員の養成を行っています。
 今回は、5学科のうち言語聴覚学科及び義肢装具学科について紹介します。



言語聴覚学科

 昭和46年、旧国立聴力障害センターに日本最初の言語聴覚士の養成所が開設されました。それが本学科の前身となる「聴能言語専門職員養成課程」です。平成9年、念願の国家資格が制定され、晴れて「言語聴覚士」という名称が与えられました。翌年「言語聴覚士養成校」第一号として国の認定をうけ、平成11年には「言語聴覚学科」に学科名が変更され、現在に至っています。本学科は大学卒2年制課程(1学年定員30名)で、卒業すると言語聴覚士の国家試験受験資格を取得できます。現在までに1074名が卒業しています。

言語聴覚士とは
 言語聴覚士の仕事は、聴覚障害、ことばの遅れ、声や発音の障害、失語症や高次脳機能障害、摂食・嚥下障害をもつ方々やそのご家族に対し、医師をはじめとするリハビリテーション専門職と連携してその問題を体系的に評価し、それぞれの障害に応じた訓練や指導、援助を行うことです。対象年齢も乳児から高齢者まで、職域も医療、保健、福祉、教育と幅広く、一般的には「コミュニケーション機能の回復や援助を行う専門職」と言われます。今年で11回目の国家試験が実施され、15,696名の言語聴覚士が誕生しています。

教育およびカリキュラム
 カリキュラムは、専門基礎分野、専門分野から構成されています。専門基礎分野は、医療系科目375時間、心理学系科目210時間、言語・音声・音響系科目210時間、社会福祉・教育系科目45時間、専門分野は、総論150時間、各論870時間、臨床実習480時間で総時間数は2340時間です。高齢化の進展、新生児・乳児期での障害の発見、人工内耳や拡大代替コミョニケーション機器など新たな技術の導入により言語聴覚士への社会的要請はますます拡大しています。それに伴い多種多様なニーズに対応できる高度な専門性を備えた人材の教育をはかっています。他方、言語聴覚士は「コミョニケーション」という人間存在の根幹に関わる専門家です。そのため専門的な知識や技術の習得もさることながら、豊かな共感力、人間への深い洞察力、そして表現力などの基本的なコミュニケーション能力をたかめることにも力を注いでいます。


(写真1)「幼児臨床・折り紙」の授業風景
「幼児臨床・折り紙」の授業風景
 
(写真2)「耳型採取」の授業風景
「耳型採取」の授業風景



義肢装具学科

 義肢装具学科は、まだ義肢装具士の国家資格制度がなかった昭和57年に義肢装具専門職員養成課程として我が国で初めて開設され、その後、義肢装具士法の施行に伴い、義肢装具士養成校として厚生大臣より第1号の指定を受けました。
 現在、国内には大学を含めて9校の義肢装具士養成校がありますが、唯一の国立の養成校となっています。

学生および卒業生
 これまでに、248人の卒業生を送り出し、今年の4月には28期生を新しく迎えました。
 一学年の定員は10名、修業年限は3年です。入学資格は高校卒業を条件としていますが、大卒者や社会人経験者など、さまざまな経歴を持った学生が入学しています。
 卒業生のほとんどは義肢装具製作施設に就職しますが、当学科や他の養成校の教員として後進の指導にあたるもの、海外に活動の場を求めるものなど、各方面で指導的な立場で活躍しております。

教育およびカリキュラム
 疾病や外傷により身体の一部に欠損がある方、また、四肢・体幹の機能に障害がある方に対して機能の補填・代替等を目的として義肢装具の専門知識と技術で支援するのが義肢装具士です。
 そのためには幅広い知識が必要とされ、専門基礎分野では解剖学等の医学系科目から、システム制御工学等の工学系科目まで多岐にわたる知識や理論を習得します。さらに専門分野においては理論のみならず、製作実習に多くの時間をかけて製作・適合に関する技術を習得します。
 また、総合リハセンターの特色を活かした病院実習など、より実践的なカリキュラムを設定しています。
 各科目の講師には、専任教官の他に、当センターはもちろん、大学医学部や病院、さらに研究機関等の第一線で活躍されている多数の講師の協力を得て、現実に即した、高いレベルの教育を行っています。

 義肢装具学科では、医療職に相応しい人格と責任をもって、義肢装具を必要としている方々を高度な専門技術でサポートできる義肢装具士を養成することはもちろんのこと、今後の業界をリードし次代を担う指導者たりうる人材を育成する事を目指しています。


(写真3)「下肢装具」の授業風景
「下肢装具」の授業風景