〔卒業生訪問シリーズ〕
当センター学院義肢装具学科卒業生の就職先を訪問して
管理部企画課


 当センター学院義肢装具学科を卒業し、オットーボック・ジャパン株式会社にお勤めの池田星次様(平成20年3月卒)にインタビューしましたのでご紹介いたします。
 会社概要はhttp://www.ottobock.co.jp/company/japan.htmlをご参照下さい。


(写真1)池田星次様

.現在の職場(所属先、仕事の内容)について教えて下さい。
   所属先は営業部東日本営業二課です。義肢装具製作所、車いす販売店、病院、療育園への営業活動(製品のPR、クレーム処理、製品の問い合わせ対応等)のほか、車いす、座位保持装置のデモ試乗への同行、製品勉強会の開催、日程調整、準備等を行っています。
.現在の職場に就職した理由を教えて下さい。
   義肢パーツを紹介する仕事がしたかったからです。また、将来的には、国際的な仕事をしてみたいという希望もありました。オットーボックはドイツに本社を置く、世界ナンバー1の義肢パーツメーカーなので、頑張れば希望がかなう会社だと思い就職しました。
.仕事で心がけている点や苦労、やりがいをどんなときに感じるかなどについてお話下さい。
   義肢装具製作所への営業活動では、義肢製作とパーツ選択を担当している義肢装具士の方に営業活動をしています。営業活動の内容は主に製品のPRですが、PRでは、お客さんのペースや雰囲気を読むことに気をつかいます。先方が忙しいなか、お話を聞いていただくので、出来るだけ先方の邪魔にならないように営業活動をするよう心がけています。しかし、粘り強く製品のPRをするようにも心がけています。このバランスが難しいです。忙しそうなときでも相手をしてくださるお客さんもいるので、このあたりの雰囲気をつかむように心がけています。
 営業活動にはそのほかにも、故障したパーツの対応や製品の問い合わせ対応等があります。故障したパーツの対応では、パーツの故障原因や対策法の伝え方に非常に気を使います。また、製品の問い合わせ対応等では、義肢装具の道何十年の専門家が相手ですので、しっかり的確な答えができるようにこころがけています。資料の足りない部分は、急遽、自分で図を書いたりして対応しています。
 このような日々の業務のなかで、学院で学んだ知識は、製品の説明、製品の詳細の問い合わせ対応をするときに欠かせないものであると感じています。
 病院、療育園への営業活動では、座位保持装置の小児へのフィッティング等をPT、OT、義肢製作所、工房の方と協力して行います。また、ユーザーの両親さんへの製品の説明もあわせて行います。臨床の場で仕事をするので、非常に緊張し、フィッティング後は汗だくです。その分、やりがいも感じます。
 あと、おもしろいのは、営業担当エリアが広いので、出張で色々な土地にいけることです。その土地土地の食べ物や、方言、名産物にめぐり合えて面白いです。(私の担当エリアは東京、埼玉、茨城、山梨、長野、石川、富山です。)
.国リハセンター学院義肢装具学科を志望した理由、きっかけは何ですか。
   義肢装具という全製品オーダーメードの仕事に興味をもち、POになろうと思ったのがきっかけです。その中で国リハセンターを志望したのは、充実した教育が受けられると考えたからです。
 実際、授業は非常に充実したものでした。
 製作実習では、クラス10名につき、教官の方が3名つくので、密度の濃い製作実習となります。生徒がほったらかしになることがなく、道具の使い方から高度なことまで、細かく指導していただけます。
 また、義足を実際のユーザーさんに適合する授業では、生徒1人〜2人に、ユーザーさん1人がつき、丸一日かけて適合を学びます。この授業での、生徒とユーザーさんの割合と時間の使い方は、少人数のクラスだからこそできるものだと思います。
 ちなみに適合とは、ユーザーさんが切断した足に義足をはめるための入れ物=ソケットをユーザーさんの切断した足に合わせることを言います。ソケットは学生が製作します。自分でつくったソケットをユーザーさんに適合させるのです。この適合の授業でも教官と生徒ほぼマンツーマンの形で授業が進むので、些細なことも質問しやすく、詳しく指導を受けることができます。
 この義足の適合実習は、これまでにない緊張感を味わえる授業でした。理由は自分が作ったソケットをユーザーさんに合わせるからです。ソケットに足が入るのか、それとも入らないのか、そのソケットで歩けるのか等々、心配することが沢山あるからです。義足をはけば、いいか悪いかがすぐにわかります。そして、ソケットのダメだった部分を授業中に修正していくのです。うまくいくことはまずありません。しかし、うまく出来てるかもしれないという気持ちが授業前には少なからずあるので、非常にどきどきする授業でした。
 他にも実習、座学ともに、予習、復習をしないと、授業についていけなくなるものもありますので、勉強漬けの毎日を送りました。
.学院生活について。センター学院での生活や勉強で思い出に残っていることは何ですか。
   特に印象に残っているのは、3年間の締めくくりとして、卒業時の謝恩会をしたことです。クラスメート全員と企画して謝恩会を行いました。みんなで卒業時に協力してひとつの会をおこなえて、感慨深いものがありました。また、国家試験の勉強があるなか、友人と謝恩会用の出し物の練習もしました。忙しい中練習した出し物が謝恩会で受けたときは、うれしかったです。
 勉強では、卒業研究が特に印象に残っています。学院での3年間でもっとも自主的に勉強した期間でした。計測したデータの処理のために自分でプログラムの組み方を覚えたり、国会図書館で論文を探したりと、これまでにしたことのないことを沢山しました。卒研の発表前は毎日徹夜で資料作りをしました。発表練習をクラスメート同士でして、ダメだしをしたりもしました。個人個人、異なる研究テーマを持っているのですが、お互いに協力しあい、本当に頑張ったといえます。やはり勉強の思い出では、卒研がもっとも印象深いものです。
 それと、試験の終わりに皆でよく飲みにいったりしました。飲み会の席での社会人経験のあるクラスメートの語る人生論は深く面白かったです。海外で生活していた話、以前の仕事の話、悩み、たまに同級生の悪口などいろいろな話が聞くことができました。
 また、お世話になった先生を囲む飲み会で、はめをはずした同級生が、その先生から ひどく説教されるという事件もありました。いい思い出です。勉強から離れた時間も充実 した学院生活でした。
.義肢装具学科で勉強している後輩へのメッセージ、アドバイスなどお願いします。
   実習では、思い切りよく失敗してください。ちまちました失敗よりも、思い切った失敗からのほうが学ぶことが多いです。私は3年間の実習を通してこのことに気が付きました。是非実行してください。
 あと、卒業研究はめげずに頑張ってください。卒研は大変なので、クラスメート同士で支えあうことが非常に重要です。特に、卒研のときに教官の方々の厳しさは増しますが、それは決していじめられてるわけではありません。学ぶ気がある人をサポートしてくれているのです。
.最後にこれから義肢装具学科に入学しようとしている方々に向けて、センター学院のPRをお願いします。
   質のたかい教育が受けられる所です。プロフェッショナルを目指す方には本当にいい環境が整っていると思います。同期、先輩、後輩の年齢層も幅広いので、得がたい友人ができ、おもしろい学院生活を送れます。


(写真2)国リハセンター義肢装具学科を卒業した3人、写真中央が池田さん、右が平成12年3月卒の高橋俊潤さん(マーケティング部)、左が平成21年3月卒の小石祥子さん(営業部)
国リハセンター義肢装具学科を卒業した3人、写真中央が池田さん、右が平成12年3月卒の高橋俊潤さん(マーケティング部)、左が平成21年3月卒の小石祥子さん(営業部)