〔研究所情報〕
第36回国際福祉機器展
(H.C.R.2009)への出展報告
研究所・感覚機能系障害研究部感覚認知障害研究室 神作憲司


 2009年9月29日(火曜日)から10月1日(木曜日)までの3日間、東京ビッグサイト(有明)にて、第36回国際福祉機器展(H.C.R.2009)が開催されました。入場者数は例年より若干少なめであったようですが、それでも3日間の累計来場者は107,911名を数えたそうです。今年の研究所のブースは東6ホールの少し奥まった一角に配置されていたものの、一般の方、当事者の方、リハビリ・福祉関連の方、メディア関連の方など、数多くの方に立ち寄っていただ き、用意していたパンフレット類も4,000部を超えて配布することが出来ました。
 研究所からのH.C.R.への出展は、今年で15回目の節目を迎えました。会期初日終了後に開催された交流会では、主催者の保健福祉広報協会より15回連続での出展を表彰され、岩谷総長への感謝状贈呈も執り行われました(写真)。また、今年の研究所のブースにも、「国リハとH.C.R.15年」のコーナーを設けて、これまでの出展テーマの紹介や過去のパンフレットの展示などを行いました(写真)。14年前に出展したPC9801上のコミュニケーションソフトやモールスキーボードもしっかりと動き、透明文字盤を用いた最新のコミュニケーション支援ソフトの実演とともに好評でした。
 今年の研究所展示のテーマは、『脳・自立する力−神経科学が拡げる福祉機器の可能性』とさせていただきました。「神経科学」は、近年の急速な発展に伴い、それまでの基礎科学の側面だけでなく応用科学の側面を持つにいたっています。この神経科学が、リハビリテーションや福祉の分野へと展開し、障害のある方の自立支援や社会参加へと着実に貢献していくことを期待してのテーマ設定です。今回の展示では特に、研究所の最近の成果のなかから神経科学に関連したものを、「脳波で操作:ブレイン−マシン・インターフェイス(感覚機能系障害研究部)」、「運動機能補助からニューロリハビリテーションへ(運動機能系障害研究部)」、「認知機能の拡張に向けて(障害工学研究部・福祉機器開発部)」の3つのコーナーでご紹介しました(写真)。
 運動機能系障害研究部の歩行補助訓練器が目を引き、多くの方が「これは何ですか?」とブースに来てくださいました。また、感覚機能系障害研究部の脳波を使った環境制御システム(BMI-ECS)の実演に感心する方もいれば、障害工学研究部・福祉機器開発部のPDAや携帯電話も好評で、実際に手に取る姿が多くみられました。一般の方には少々専門的すぎるテーマ設定ではと危惧しましたが、多くの方に興味をもってご覧いただくことが出来ました。展示に関連して、感覚機能系障害研究部から「BMI-ECSの紹介」、「脳波で操作する上肢アシストスーツ」、運動機能系障害研究部から「脊髄損傷者の歩行回復を目指して」と題したDVDを放映し、軽快な音楽の助けもあってか、多くの方が足を止めて見入っていました。
 展示物を目にした方からは「商品化は?」といった声もいただき、こうした福祉機器へのニーズや研究に対する期待を実感することも出来ました。束の間ではありましたが、多くの方の話を伺うことも楽しみながら会期を終えるこが出来ました。最後になりましたが、今回の出展に御協力くださった方や実際にブースに足を運んでくださった方など多くの方々に御協力をいただきましたことを深く御礼申し上げます。

(写真1)H.C.R.2009出展社交流会1   (写真2)H.C.R.2009出展社交流会2
(写真3)国際福祉機器展1   (写真4)国際福祉機器展2