〔魚拓シリーズ27〕
「ハタハタ」
元更生訓練所理療指導室長 川政 勲



 ハタハタはスズキ目ハタハタ科。体長15センチほどの小魚で、アラスカ沿岸から北海道、東北地方、日本海側の山陰地方にまで分布する寒流系の魚である。背は黄色みを帯びた淡い褐色で、流紋状の濃い褐色の模様があり、三角形の背びれが二つ、腹部は銀白色で腹びれは尾の付け根まで続く。口は大きく上向きで、鰓に5本の刺が有る。
 水深200メートル以上の深海にいて、海底の砂泥地に潜ったりして生活しているらしい。
 十一月下旬から十二月中旬にかけて、産卵のために大群を作って接岸し、この頃に一番味が良くなるので冬の魚になっている。
 産卵期の冬の日本海は、西高東低の強い北西の風が吹き荒れ、雪が降り続く。海は風にめくられ凶暴な様相を見せるが、この風が「雪起し」と呼ばれる雷を呼ぶ。だから「雷(はたた神)」がくる頃から獲れることから「ハタハタ」と呼ぶようになったという説がぴったりする。
 ハタハタの卵は「ブリ子」と呼ばれ、しきしきした舌触りが珍重されている。噛んで舌触りと、潰した中の味を味わう。だが、一度青森の魚拓会の忘年会で、出たことがあるが、私も同席した釣りの老師匠もその卵の余りの硬さには歯が立たず、食するのを止めた一幕があった。
 ハタハタは、秋田の郷土料理の「しょっつる鍋」に利用される。
 絵はしょっつる鍋を表し、アルミの鍋、ハタハタ、しいたけ、三つ葉、しみ豆腐を配したものであるがお分かりいただけたでしょうか?


 啓蟄やポケットにある潮位表  いさお


(図)ハタハタ