〔魚拓シリーズ28〕
「カワハギ」
元更生訓練所理療指導室長 川政 勲



 フグ目カワハギ科に分類される魚 北海道以南、本州、四国、九州、東シナ海に分布。水深200メートル以浅の沿岸に生息する。体は強く側扁し、菱形。昼に活動するが、夜は海藻などを口にくわえつかまって眠る習性がある。
 厚く硬い皮で覆われ、愛嬌のある菱形の姿をした魚である。硬い皮を剥いでからでないと料理できないから「カワハギ」という名が付いている。
 カワハギというと干物を思い出すと思うが、この干物は同じカワハギ科の   ウマヅラハギで安価なのだが、カワハギとして高い値段で売られている。
 口の周りに包丁を入れると目の縁から皮がすっぽりと剥ける。身ぐるみ剥がれると「ばくち魚」の別名も頷ける。
 餌を取るのが上手で、テレビでも盛んに大変難しい釣りと宣伝されている。餌は浅蜊の剥き身。秋も深まってくると、釣宿の前で浅蜊を剥く釣り師の姿が関東の風物詩である。釣り鈎を浅蜊の水管まで刺して釣るのであるが、硬い水管を喰われても気が付かないくらいである。
 別府重度障害者センターに勤務したとき、別府湾で鯵釣りをしていて大きなカワハギが何匹か釣れたことがあったが、向こうが勝手に鈎に掛かってくれたので、苦労しなくでも釣れた思い出がある。
 料理はなんと言っても肝の煮付け。これは冬でなければ大きくない。煮ても鍋にしても美味である。刺身にしてフグ作りにし、肝を解き、酢醤油で食べるとこの上なく美味しい。


釣り上げた皮剥の吹く水一寸  雨汀



(写真)カワハギ