〔平成22年度重点事項〕
研究所
 


 研究所では、国立障害者リハビリテーションセンター中期目標を踏まえ、平成22年度の運営方針と重点研究課題を次のように策定しました。これに基づき、研究所のミッションである「障害者の社会参加とQOLの向上を促進するための支援システム、支援技術に関する研究開発」を強力に推進します。


研究所の運営方針
(1)  総合的リハビリテーションに向けての研究体制の見直し
   新たに脳機能障害分野に関する研究体制の充実を図る目的で脳機能系障害研究部を設置します。また、従来の補装具製作部を義肢装具技術研究部として位置づけて、義肢補装具の提供技術に関する研究開発の取り組みを強化します。
(2)  総合的リハビリテーションにおけるコア・コンピタンス(中核技術)の確立
   重点課題として、第1に、近年発展が目覚ましい脳神経科学研究の成果を積極的にこの分野に適用することにより新しい中核技術を確立します。第2に、支援機器・福祉機器の効果的な利活用に向けての技術開発を推進します。さらに、障害福祉政策の新しいパラダイムの提案の基礎となる新理論の発掘などに挑戦し、新たな中核技術の芽を育てます。
(3)  センター横断的な課題解決型研究の企画立案機能への参画
   「総合的リハビリテーション」の観点から、センター横断的な課題解決型研究の企画立案機能への参画ならびにその実施における協力を積極的に進めます。その際、今まで培ってきた研究所における研究支援体制を基盤として一層の支援体制の充実を進め、効果的・効率的研究活動の推進に貢献します。
(4)  センター横断的な事業推進への積極的参加
   本年度より開始される盲ろう者宿泊型生活訓練等モデル事業はじめ、高次脳機能障害支援普及事業、青年期発達障害者の地域生活移行への就労支援に関するモデル事業等に関して、関連する研究課題を設定するなどして研究所の特性を活かすことができる態勢を整備しつつ積極的に参加、協力します。
(5)  競争的研究資金への積極的参加
   今後の研究事業の資金源の多様化と、外部との競争的環境による研究水準の高度化を目指し、厚生労働科学研究費補助金、文部科学研究費補助金をはじめとする外部で公募する競争的研究資金の獲得に積極的に参入し、一層効果的な研究展開のための資 金確保に努めます。
(6)  政策企画立案への協力
   補装具検討作業に協力するとともに、福祉機器の適合の技術的・制度的な高度化の方策の研究や、福祉機器の臨床評価や試験評価等に関する基盤技術の確立を図る取り組みを通して、福祉機器の給付システムの検討作業に貢献します。

平成22年度重点研究開発課題
(1)  リハビリテーション健康増進プログラムの提供(平成22−24)
   センター内の病院・研究所・更生訓練施設の複数部門が連携して推進するプロジェクトであり、障害者の生活習慣病管理ガイドラインの作成とその妥当性検証を目標とします。
(2)  ブレイン−マシン・インターフェイス(BMI)技術を用いた福祉機器に関する研究(平成20−24)
   これまで開発した、脳波信号で生活環境を制御するシステムについて、さらなる多機能化、効率化、最適化を行っていきます。
(3)  軽度認知症者を対象とした情報支援機器の開発と実用化及び適合手法の確立(平22−26)
   パートナーロボットを用いた対話型情報支援システムの開発と情報支援機器による認知症者の自立支援手法の確立を目指します。
(4)  再生医療の手法を取り入れた脊髄神経機能の再獲得可能性に関する研究(平16−18,19−21,22−24)
   脊髄損傷者の歩行再獲得のためのニューロリハビリテーションに関する研究、皮質脊髄路再生誘導と神経回路再構築の分子メカニズムに関する研究、動物モデル歩行トレーニングと組織変化に関する研究を行います。
(5)  高次脳機能障害支援普及事業(平18−)
   全国10のブロック会議を通じて全都道府県に支援点機関の設置と支援コーディネーターの配置を促し、自治体ごとの支援ネットワーク構築とその運用について指導助言を図ることを継続します。
(6)  福祉機器の評価・認証機能の強化、国際基準の策定支援に関する研究(平22−26)
   福祉機器破損情報収集システムの構築、補装具の工学的評価及び臨床評価に基づく認証機関としての機能の構築、高度先端福祉機器の臨床評価に関する研究、座位保持装置の強度及び温湿度特性に関する国際規格(ISO)の策定に関する研究を進めます。