〔国際協力情報〕
ベトナム国会社会委員の
センター視察について
管理部企画課


 去る3月19日(金曜日)にベトナム社会主義共和国の国会議員の方々が当センターを視察されました。視察団はベトナムの国会の社会委員会等のメンバー8名で、日本の障害者施策等について知見を得ることを目的に来日されました。
 ILOによると、ベトナムでは8,600万人の人口のうち障害がある人々は500万人以上いると推計されています。戦争に関連する障害から、近年は生活習慣病(脳血管障害など)や交通事故による障害が増加傾向にあり、障害がある人々の6割が地方に住んでいます。このため仕事に就く機会は少なく、障害がある子供が学校教育を受けることができる割合も非常に低い状況にあります。このような状況の中、ベトナム政府は障害者支援計画を作り、医療、教育や就労の機会を広げようとしています。また、2009年には障害者基本法案がベトナム国会に提出されたところです。
 今回は、前日に厚生労働省で障害がある人々に関する福祉施策と雇用対策について説明を受けたうえで当センターの視察をされました。
 当日の視察は2時間でしたが、概況説明の後、理学療法、作業療法、就労移行支援、自立訓練を中心に見ていただきました。作業療法では家庭での日常生活のための訓練室、理学療法では野外での歩行訓練場を紹介し、自立訓練部門では視覚に障害がある人々の日常生活訓練や高次脳機能障害がある人々への支援、また就労移行支援部門ではパソコンの技能習得訓練と職場体験訓練について説明をいたしました。
 日本はベトナムに対し、国レベル、民間レベルにおいて貧困対策支援をはじめ、障害の分野でも義肢装具や視覚障害関係の支援など多くの支援を行っており、当センターでも研修員の受け入れ等を行っています。
 ベトナムの障害がある人々というと戦争による後遺症のイメージが大きいですが、経済の発展とともに生活習慣病による疾病や交通事故による障害が増えている中で、日本の施策も参考になるものがあるかと思います。
 今後、相互協力の可能性もありますので、このように当センターを訪問される海外の方々にセンターの活動を紹介すると同時に、相手国の状況にも関心を持って情報交換を進めていきたいと考えます。



(写真)ベトナム国会社会委員の方々との集合写真