〔学院情報〕
平成22年度学院入学式
学院事務室


 3月下旬から咲き始めた桜の花が、まるで散るのをまっていてくれたように咲きそろった4月8日(木曜日)の10時から、当センター学院講堂において、新入生66名を迎え、平成22年度入学式を開催しました。


(写真)入学式の様子
(写真)入学式の様子

 式典では、開式のことばに続き中島学院長から式辞がありました。式辞の中で学院長は、「皆さん方はこれから2年あるいは3年かけて、障害者支援のために、経験に裏打ちされエビデンスに基づいた多くの知識・技術を身につけるでしょう。しかし、知識や技術を身につけるだけではなく、障害を持つ方々の複雑で繊細な心を理解し、その立場に立って考えられるように日頃から訓練をしてください。」と述べられました。

 続いて、岩谷総長より祝辞がありました。祝辞の中では、まず新入生の皆さん及びご家族に対してお祝いの言葉が述べられた後、「医は仁術という言葉がありますが、仁という言葉には、自分を抑え、人を慈しむあるいは思いやるという意味もあります。私たちが行う支援サービスが仁術となるためには、相手に対する慈しみが必要です。相手に対する慈しみは、授業、講義により修得できるものではありません。自分を慈しみ、他人と交わりを重ねることにより他人を慈しむようになれるのではないでしょうか。また、楽しい時ばかりでは慈しみの心は生まれません。皆さんの学院生活が楽しいものであることを願うものでありますが、苦しみを乗り越えての楽しいものとして頂きたいと願っております。」と話されました。
 引き続き、新入生紹介のあと、義肢装具学科3年の赤田晋一さんが、歓迎のことばを述べました(文末に全文掲載)。
 その後、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長 木倉敬之様などからいただいた祝電を披露しました。
 最後に、当日参列された当センターの幹部職員の紹介を行った後、学院歌を斉唱して終了しました。 以下、各学科の教官から、新入生について紹介します。


言語聴覚学科
 爽やかに晴れわたった空の下、満開の桜のもとに入学したST学科32期生は、平均年齢24.6歳とフレッシュな30名(女性24名、男性6名)が揃いました。出身学部は、心理、福祉、教育系が多いのは例年どおりですが、職業経験をお持ちの方もいらっしゃり、障害のある方を支援する言語聴覚士としてふさわしい多様な人間観・価値観を学ぶことができそうです。また、例年より男性が多く、女性もスポーツに親しんでいた人が多いのが特徴です。昨年に引き続き、スポーツ大会での優勝、体育祭での活躍が期待されます。ハードスケジュールは変わりませんが、心身の健康にも十分気をつけ、勉学に励んで欲しいと願っています。


義肢装具学科
 29期生として10名が新たなスタートを切りました。平均年齢20.5歳、男性、女性各5名の構成で、高校新卒者6名、大学新卒者1名、そして社会人経験者(大学既卒者)が3名と例年に比べて平均年齢が若い傾向にあります。また各人のバックグラウンドは芸術系、機械系、人文系とバラエティに富んでいるため、お互いを刺激し合いながら人間的にも日々成長していって欲しいと願っています。
 既に実習授業も始まり石膏にまみれる毎日ですが、国リハ学院を受験した時の志を忘れずに、卒業後も業界を牽引していく義肢装具士になるための3年間であることを期待しています。


視覚障害学科
 この春、視覚障害学科は10名の新入生を迎えました。男性4人、女性6人。久しぶりに男性が複数名です。日本国籍9人、中国籍1人。初めての海外進出です。
 大学の新卒が4人、不惑の40代が3人。学生間の年齢差は20歳以上あります。大学で修めた専攻は、経済、法律、商業、心理、工学、音楽や美術など。職歴はゴルフ場の営業マン、小売店の店長、視能訓練士、あん摩はり灸師。年齢も、経歴も、興味も、まさに十人十色です。
 この10人が互いに交わりまとまることでクラスとして成長し、その中で個々が洞察力を高め、人間性を豊かにし、人として、専門家として成長していくよう願っています。


手話通訳学科
 手話通訳学科は21期生14人を新たに迎えました。今年は男性が3名と例年より多いのが特徴です。年齢層も20代から40代まで幅広く、出身地も首都圏周辺が割合としては多いものの、北は秋田から南は鹿児島まで全国各地から集まりました。年齢も出身地も社会経験も異なる学生たちが手話通訳士をめざして、まずは手話という第二言語の習得を目指します。初めて接する異文化に戸惑うこともあるでしょう。同級生同士で助け合い、できるだけ早く学院生活に慣れていってほしいと思います。
 今年3月に卒業した19期生は、手話通訳士試験の現役合格率が学科創設以来初めて50%を超えました。21期生も健康に留意しながら勉学に励み、先輩たちに続いてほしいと思います。


リハビリテーション体育学科
 満開の桜に迎えられ、20期生として2名が入学してきました。共に体育系大学で健康・スポーツ科学を専攻してきた元気な笑顔の女性たちです。得意種目はそれぞれバドミントンとトライアスロンといった忍耐強さと冷静さが要求される個人スポーツです。このスポーツの経験は、今後、さまざまなことに取り組む際の大きな力になることでしょう。入学式の翌日から“ジャージ”に着替え「リハ体育」の貫禄はバッチリです。既にクラブ活動などへ積極的に参加しているようですが、障害のある人の健康づくりを体育・スポーツで支援できる専門家を目指して、多くのことを深く、広く、探求していってほしいと願っています。



歓迎のことば


 厳しい冬が過ぎ、花もほころぶ春となり、本学院にご入学された新入生の皆さん、おめでとうございます。われわれ在校生一同、大変うれしく思います。
 新入生の皆さんはこれからの新しい出会いや始まりに、大きな希望で満ちていることと思います。一昨年の今頃、私も初めての関東での生活の始まりに胸を躍らせていたことをよく覚えています。
 本学院は、言語聴覚学科、義肢装具学科、視覚障害学科、手話通訳学科、リハビリテーション体育学科の5つの学科があり、それぞれの分野における専門職になるための多彩なカリキュラムが組まれています。また、その分野で一流の教官の先生方、外来講師の先生方がおられ、皆さんへの指導、助言に当たってくださいます。勉学に励んでいると1年がすぎるのは本当にあっという間です。皆さんには1日1日を大事に過ごしてもらいたいと思います。
 センター内には学院のほかに、病院や職業訓練や生活訓練を行う自立支援局、研究所などがあり、実習でお世話になる機会が多々あります。大変貴重な経験になることでしょう。
 普段の講義以外にも、学院ではスポーツ大会や交流会、センター全体では体育祭や並木祭といった行事があります。こういったイベントでの交流を通して、様々な専門分野の人たちと触れ合うことができます。意見交換したり、同じ目標に向かって共に汗を流し取り組むことで、強い絆が生まれることでしょう。
 私たちは、臨床の場で活用するための知識や技術を最低限、習得しなければなりません。専門分野の勉強ははっきり言うと、大変厳しいです。学院での生活は楽しく充実していると同時に、つらく苦しいこともあるかもしれません。そんな時は、今心の中にある気持ち、学べるという喜びを思い出してください。そして、挫折しそうになったときは、今隣に座っている仲間、私たち上級生に相談してみてください。生まれた場所やこれまで歩んできた道は異なりますが、同じ志をもつ仲間として力になれると思います。
 私は、専門職に必要な技術や知識、人格は、この学院生活で直面する試練を、悩み考えながら一つひとつクリアしていくことで作られていくものと信じています。新入生の皆さんもこれから多くの試練に直面すると思いますが、逃げることなく真正面から向き合い、大いに悩んでください。
 最後になりますが、新入生の皆さんには、今心にある希望や情熱を忘れることなく、この学院で生まれる出会いを大切にし、これから共にがんばっていきましょう。
 以上、皆さんのご入学を心からお祝いし、歓迎のことばとさせていただきます。

平成22年4月8日
在校生代表
義肢装具学科3年 赤田晋一