〔魚拓シリーズ30〕
「メバル」
元更生訓練所理療指導室長 川政 勲



 メバルはフカカサゴ科の魚で、北海道から九州、朝鮮半島南部に分布し、沿岸の岩礁域に生息しています。卵胎生の魚で、高齢魚だと85,000粒も抱卵するそうです。
 メバルにはウスメバル、トゴットメバル、エゾメバルなどがいます。その名の通り大きな眼をしていて、よく物を識別できるので、釣り糸も細くなければならず、それに生きた餌を好むので釣りにくい魚の一つです。
 体色は住む場所や深さによって黒灰色から黄赤色まで変化に富み、一般的には深さが増すにつれて赤味が強くなります。
 今から四十数年前、釣りに行かなくても生きた魚介類が食べられた函館から栃木の山の中の塩原視力障害センターに転勤して、一番苦しかったのは新鮮な魚介がなかなか食べられなかったことでした。おいしい魚を食べようとすれば自分で釣りに行かなければなりませんでした。
 当時、福島のいわきの漁港から乗合船に乗り、メバルを狙いました。生きたエビを餌につけ、針の数だけ釣ったものでした。帰って来て温泉につかり、夕食で、刺身や煮付けにして食べ、ビールが進んだ思い出があります。
 今は日立の港から出る乗合船に乗り時々メバル釣りに興じますが、釣果の殆どが魚拓教室の教材になるので余り口にすることができません。

はまなすや岬を廻る監視舟  いさお



(写真)メバル