〔国際協力情報〕
タイ国研修員の研修報告
 


 6月から7月の間の6日間、日本医科大学の依頼によりタイ国チェンマイ大学付属病院の看護師長が当センターでリハビリテーション看護に関する研修を受けました。特に脊髄損傷の患者さんへの看護が研修のテーマでした。
 研修の報告と研修員が勤務する病院についてご紹介します。



 私の名前はニパ・ワチララットです。タイ北部のチェンマイにある、チェンマイ大学医学部付属病院のリハビリテーション病棟で看護師長として勤務しています。リハビリテーション分野の看護師として23年間の経験があります。
 はじめに、勤務する病院を簡単にご紹介します。正式名はチェンマイ大学医学部付属マハラヤ・ナコーン・チェンマイ病院といいます。
 ベット数は1,500床で、1日あたりの入院者数は1,200人から1,350人、外来患者数は3,000人から3,500人です。看護部門で働いているのは全部で2,400人ほどです(そのうち正看護師は1,356人、准看護師は620人、看護補助者は242人、クラークが13人です)。
 リハビリテーション病棟はベット数が25床で、一番多いのは脊髄の障害の患者さんで次が脳血管の障害の患者さんです。この病棟で私は、看護のマネージメント、指導・教育、カウンセリング、研究等の様々な活動を行っています。これまでにオーストラリア、スイス、フランスのリハビリテーション病院・施設で短期の研修を受け、各国のリハビリテーションを見てきました。また、教育活動として脊髄損傷の患者さんに対するリハビリテーション看護や神経因性膀胱に対する看護ケア等について講師を務めてきました。
 障害がある人にとって、地域におけるリハビリテーションは生活の質の向上と勇気づけのために重要な活動であり、チェンマイ大学付属病院が目指しているものでもあります。
 さて、今回は日本医科大学の招聘により、次の病院で研修を行うことができました。日本医科大学千駄木病院、同大学千葉北総病院、日産厚生会玉川病院、桜新町リハビリテーションクリニック、三軒茶屋クリニック、梅が丘総合福祉センター、そして国立障害者リハビリテーションセンターです。
 毎週金曜日の計6日間の研修でしたが、国立リハビリテーションセンターでの研修についてまとめました。病院2階病棟を中心に研修を行いました。


研修した内容
  障害がある人々に対する総合的リハビリテーションサービス
  脊髄障害の患者さんの集中リハビリテーションとリハビリテーション看護(脊髄障害女性の妊娠・出産に関する相談を含む)
  自立支援局における看護業務
  リハビリテーション専門職の養成
  職業リハビリテーションの役割
  リハビリテーションにおける研究開発


今後の活動計画
  チェンマイ大学付属病院のリハビリテーション病棟における人事管理と患者さんのリハビリテーションに関わる調整に日本で学んだことを活かす。
  リハビリテーションのマネージメントに従事する職員の能力開発を行う。
  タイ北部地域を対象にしたリハビリテーション看護の短期研修を計画する。
  タイ国のリハビリテーション看護従事者に脳血管障害と脊髄障害のリハビリテーション技術と知識を伝達する。

 日本での研修は最新の医学的ケアの知識を得る機会です。大事なのは、日本で学んだ知識と技術を研修員が自国の状況に合わせて応用することです。
 日本の保健システムのみならず生活や文化を知ることができたことも大きな成果です。今回の研修でお世話になった皆さんにお礼を申し上げます。


2階病棟 安濟 ノブ 看護師長(右)と   チェンマイ大学医学部付属マハラヤ・ナコーン・チェンマイ病院
2階病棟 安濟 ノブ 看護師長(右)と   チェンマイ大学医学部付属
マハラヤ・ナコーン・チェンマイ病院