〔自立支援局情報〕
世界ゴールボール選手権大会
−シェフィールド2010 参加報告
理寮教育・就労支援部 理療教育課 江黒 直樹
(ゴールボール日本女子チームヘッドコーチ)


 世界ゴールボール選手権大会が2010年6月17日(木曜日)から27日(日曜日)まで、イギリスのシェフィールドにて、男子16カ国、女子12カ国が出場して行われた。参加資格は北京パラリンピック成績上位3カ国とアジア・ヨーロッパなどの各地区の予選会を優勝もしくは成績上位の国のみが出場することができ、成績上位3カ国には2012年ロンドンパラリンピックの出場権が与えられる大会である。日本女子チームは今年3月マレーシアで行われたアジア大会で優勝して出場権を獲得した。体格では出場12カ国中、1番小柄でスリムで、世界の強豪に対抗するために、「失点しない」を目標に、国内ではゴールボール競技人口が少ない中、選手を月に1度招集し強化合宿を行った。ディフェンス力(守備力)の強化を図り、「世界一」美しい、強いディフェンスを作り上げ、大会に臨んだ。
 「いざ!出陣!」、日本を17日10時過ぎに立ち、ロンドン経由でマンチェスターへ。さらに車で約1時間半のシェフィールドという町に到着したのが、現地時間17日19時ぐらいで、約18時間の移動であった。次の日は早速公式練習が組まれていて長旅の疲れもあったが、ゆっくり調整を行った。
 女子は出場12カ国を2つのグループに分け、6カ国総当りによる予選リーグを行い、成績上位4カ国が決勝トーナメントに進出する。日本が入ったグループは、中国、デンマーク、フィンランド、イギリス、ロシアであった。予選は、初戦ロシアに2対0で勝ち、デンマークに0対2で敗れ、イギリスに2対1で勝ち、中国に1対2で敗れ、2勝2敗で迎えたフィンランド戦。勝てば、2位通過。負ければ4位通過の大切な1番に0対3の大敗、予選リーグ2勝3敗、4位で決勝トーナメントに進出した。
 決勝トーナメントはもう一つのグループ予選1位通過のアメリカ。パワーでおしてくるアメリカに対して堅い守りで守るがこじ開けられ、1対3で敗れてしまい、5〜8位決定戦へ進んだ。相手は予選で敗れたデンマークであったが、4対2の粘り勝ち。次戦の5・6決定戦では同じく予選で敗れたフィンランドに10分ハーフ及び延長の3分ハーフ行っても0対0で決着がつかずエクストラスローへ (サッカーで言うPK)。最終的に1対2で敗れ、6位となった。
 この大会通して感じたことは、世界のゴールボールのレベルアップがはかられている一方、日本のゴールボールも世界で通用することが実感できたことである。過去アテネと北京の2回パラリンピックに出場したが、これまで海外との体格の差、パワーに押されてきたが今回は粘り強くディフェンスを固め、相手の嫌がる攻撃を繰り返すことによって活路を見出すことができた大会であった。
 現在のチームで過去にスポーツを行っていた選手は少なく、視覚に障害をもってからゴールボールと出会いスポーツを始めた選手ばかりである。目標を持ってあきらめずにトライし続けた結果が今大会の6位であり、次の目標であるロンドンパラリンピックの出場権獲得、パラリンピック優勝を目指して、選手・スタッフ一丸となってトライし続けていきたい。
 今回このような機会を与えていただき誠にありがとうございました。貴重な経験を日本の障害者スポーツの発展のために役立てていきたいと考えています。
 今後ともゴールボール日本代表チームへの応援よろしくお願いします。


決勝トーナメントで対戦したフィンランドチームと
決勝トーナメントで対戦したフィンランドチームと