〔魚拓シリーズ32〕
「泥鰌」
元更生訓練所理療指導室長  川政 勲



 泥鰌(どじょう)は鯉目泥鰌科の魚で、本州から九州に分布しますが、放流により北海道、琉球列島にも分布しています。
 川の中流、湖沼、水田、水路を生息域とし、水底に棲んでいます。
 泥鰌髭と言われるように、特徴である髭は5対10本あります。
 私が子供の頃は、主に田んぼで捕まえました。水の無い田んぼに行くと穴が開いています。そこを掘ると泥鰌が捕まえられました。沢山捕まえましたが食べた記憶はありません。多分大人たちの酒の肴になっていたのでしょう。
 函館視力障害センターに勤めていた頃岩魚釣りにのめり込んでいました。
 岩魚が釣れると聞くとどんな小さな川でも入りました。岩魚にしては魚信が小さいなと思って竿を上げると泥鰌が上がってきました。道南のN川やM川でのことでした。
 泥鰌はソイ釣りの餌にも使いました。「ガラ引き」と言って、生きた泥鰌を釣り針に掛け、遠くへ投げ、底を引いてソイの喰いを誘う釣り方です。初めての釣行の時、職場で誰も釣ったことのない大きなソイを釣りあげ、海釣りに魅せられて行きました。
 近くには汚い川しか無い町に住み、今はスーパーで買うしか入手方法はありませんが、専ら釣り餌用です。
 職場のある台東区内には「駒形どぜう」の店があり、柳川鍋を美味しく食べさせてくれます。「柳川」とは料理を発明した店名にちなんでいるそうです。

山装ふ背なに短き竿二本  いさお


(写真)どじょうの絵