〔学院情報〕
実習を終えて
学院事務室


 当学院では、カリキュラムの一環として病院や福祉施設などにおいて実習を行っています。実習期間や実習内容は学科や学年により異なりますが、現場の空気を肌で感じ、自分の目指す職業についての理解を深めるための貴重な機会となっています。今回は言語聴覚学科2年高橋さんと視覚障害学科2年及川さんの実習報告を御紹介します。

言語聴覚学科2年 高橋 幸那

 言語聴覚学科では、2年生になると夏と秋に約30日ずつの実習を行います。実習先は病院、療育センター、難聴児通園施設など人によって様々ですが、そのなかで私は、横浜市の地域療育センターで夏の実習を行ってきました。療育センターは主にことばや聞こえ、運動、コミュニケーションの発達に遅れや心配があるお子さんを対象に、指導・訓練を通してその発達を支援していく施設です。もちろん相談等を通してお子さんだけでなくそのご家族の支援も行います。
 私がお世話になった療育センターでは言語聴覚士(以下ST)のほかに、医師、理学療法士、作業療法士、臨床心理士、ソーシャルワーカー等の各スタッフが働いていました。実習中に強く感じたことの一つはその連携の濃さと大切さです。たとえばSTと理学療法士が協力して嚥下の指導や相談を行ったり、STと臨床心理士が互いの検査結果や臨床での印象を参考にしながら子どもの発達を捉えていたり。一人の子どもについてそれぞれの専門職が持っている情報を共有しあうことで、その子の全体像が見えてくるのだということを、実際の現場で学ぶことができました。
 また実習のなかで、私は構音障害をもつお子さんの指導を担当させていただきました。指導が終わるたびに自分の至らない点がたくさん見えてきて「本当にこの子の役に立てているのだろうか…」と思ったこともありましたが、反省と改善を繰り返すなかで、自分が考えた教材をお子さんが楽しんで取り組んでくれたり、お子さんの発音が少しずつ上手になっていく様子が見えたりしたときは、本当に嬉しかったです。
 冒頭に書いたようにSTが働く施設は様々ありますが、今回の実習を通して私は、STとして子どもたちの発達を支援していく仕事がしたいという気持ちが以前より大きくなりました。こうして将来へのイメージがより明確になったことも、実習で得た大きな成果だったと思います。

視覚障害学科2年 及川 紗央里

 私は、東京都新宿区河田町にある東京都視覚障害者生活支援センターで、3か月間の実習をさせていただきました。
 東京都視覚障害者生活支援センターは、障害者自立支援法に基づき、自立訓練(機能訓練)、就労移行支援(一般型)を行う施設です。私は、機能訓練部門で実習をさせていただき、利用者さんの訓練の見学や、訓練の指導を行いました。機能訓練部門は定員が30名で、訓練の提供内容としては、白杖を使っての歩行訓練、調理・裁縫等の日常生活動作訓練、視覚障害者の文字である点字訓練、パソコン画面を音声化するソフトを使ってのパソコン訓練、DAISY(デジタル録音図書)を聞く機器や録音機器の操作を訓練する情報機器訓練などがあります。
 入学してから1年間、学院で講義や演習を通して、訓練をするための基礎となる部分を学んできました。しかし、実際に視覚障害を持つ方と接する機会は多くなく、実習の最初は訓練の見学を通して、利用者さんの状況や、訓練の雰囲気を感じるところから始まりました。実習期間中は、歩行、パソコン、日常生活(調理)、点字の各訓練を、訓練担当の職員さんから指導をいただきながら、訓練を担当しました。指導を行っていく中で、一つの項目を理解し覚えてもらうという場面でも、少しでも深く理解してもらうためには様々な方法でアプローチすることの大切さを学び、まだまだ自分に不足している部分であると痛切に感じました。短い期間ではありましたが、継続して訓練に関わり、自分が指導担当させていただいた部分を、利用者さんが理解してくれることで、一歩ずつステップを踏んでいくという過程を間近で見て、訓練に関わっていくことのやりがいを感じました。
 3か月の実習を通して、職員さんから指導していただいたこと、利用者さんと関わった中で感じたことを大切にし、今後も勉強に励んでいきたいと思います。