〔魚拓シリーズ33〕
「ヒラマサ」
元更生訓練所理療指導室長 川政 勲



 ヒラマサはアジ科の魚で、ブリに大変よく似た魚です。本州以南、世界中の温帯・亜熱帯域に分布し、沿岸から沖合に生息します。
 最大2メートル、20キロを超える大物で、味もブリより一段上、姿も良い魚です。
 成魚になると横腹に明瞭な黄色線が出ます。ブリも幼魚期にはこの黄色線がありますが、成魚になると殆ど消えます。
 ブリもヒラマサも、浮遊性の卵を藻の中に生みますが、孵化した後ブリの子は黒潮に乗って北へ旅をするのに、ヒラマサの子はせいぜい房総半島止まりで、回遊範囲も狭く、大群を作りません。
 伊東の重度障害者センターから函館視力障害センターに転勤する準備の荷作りの合間を縫って、義兄と八丈島に釣りに出かけました。
 自衛艦と衝突して沈没した大型遊漁船の「富士丸」が漁師の漁場に入り、私たちが乗った船の船頭に追い出されたというハプニングがありました。
 ヒラマサを釣りたいと一生懸命コマセを撒き、「ヒラマサよ来い」と願いましたが、初心の私をヒラマサは嘲笑って、ピクリともしませんでした。
 結局私は、カンパチやウメイロ、メジナなどしか釣れませんでした。
 最近はテレビで磯からのヒラマサ釣りをよく放送しています。「海のダンプカー」とよばれるこの魚の釣りは人気があります。
 ヒラマサは刺身として随一ですが、鮨種としても高級品。カマの照り焼きなども格別です。
 魚は釣った日よりも翌日や翌々日の方が味は良いですが、ヒラマサの場合は4日〜6日が一番美味でした。

波を追ふ波に色なし大旦  いさお

(写真)ヒラマサ