〔魚拓シリーズ34〕
「イシガキダイ」
元更生訓練所理療指導室長 川政 勲



 イシガキダイはイシダイ科の魚で、本州中部以南(日本海側は山口県以南)、南シナ海に分布している。体側の紋様が石垣の様なのでこの名前が付きました。イシダイに近い仲間であるが、姿はイシダイよりやや丸く、背びれの数もイシダイより少し多い。その故か泳ぐ時もイシダイよりも敏捷である。
 歯は上下とも接合して一枚の歯となり、噛む力が強く、アワビ、サザエなどの殻も噛み砕く。幼魚期には好奇心の強い性質で、イシダイを釣ろうとしている餌をコツコツと突っついて食べてしまう。
 体側の石垣模様は成長に伴って細かくなる。老成した雄ではこの斑紋が消えて、吻(ふん)部が白くなり、俗にクチジロと呼ばれる。
 イシガキダイもイシダイも利口な魚の部類に入るので、水族館では芸を仕込んで見せてくれる。
 イシガキダイはイシダイと模様が違うだけで、魚全体としては大変良く似ているが、商品価値としてはイシダイに軍配が上がる。
 魚拓を作る時も、イシダイをイシガキダイに作ったり、逆にイシガキダイでイシダイを作ったりすることがあります。
 作品の魚はイシダイとイシガキダイですが、別な魚です。

梅開花少し差のある県境  いさお


(写真)イシダイとイシガキダイ